費用計上される開発費と繰延資産計上される開発費

研究開発費等に係る会計基準では、開発費は発生時に収益を獲得できるかが不明確であるため、会社の資産としては計上することはできず、発生時の費用として処理しなければならないと定めています。(研究開発費等に係る会計基準三
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A-Q1)
一方で、財務諸表等規則第36条には、繰越資産として計上すべき支出の一つとして、開発費が掲げられています。

両者は、財務諸表規則で掲げられてる開発費の方は、会計基準で定められている開発費よりもより大きな範囲を包含しており、その内、会計基準の開発費に該当するものについては発生時に費用計上し、それ以外のものについては繰延資産として計上するという関係にあります。

具体的には、財務諸表規則では開発費を”新技術又は新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓等のために支出した費用”と定義しており、企業の活動の多岐にわたる範囲を含んでいます。

それに対して、会計基準では開発を”新しい製品・サービス・生産方法についての計画もしくは設計又は既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化すること”と定義しており、その範囲を製品・サービスに係るものに限定しています。

また、会計基準では別途、探査・掘削等の鉱業における資源の開発に特有の活動については、適用の範囲外とすると明確に定めています。 (研究開発費等に係る会計基準六の2
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針27項
財務諸表等規則ガイドライン36-5)
上記の定めから、新しい製品・サービス等に関連する開発のうち、探査・掘削等の鉱業における資源の開発に特有の活動に係るもの以外の支出については研究開発費として、それ以外の開発活動に係る支出は繰延資産として処理することが適切であると考えられます。
次のページでは、研究開発費の会計処理について具体的にご紹介します。