公社債の保有目的区分を売買目的有価証券からその他有価証券に変更する場合の会計処理

【売買目的有価証券である公社債のその他有価証券への変更】

下記の要因でトレーディング取引を行わないこととした場合のみ、変更が認められる

・資金運用方針の変更
・法令若しくは基準等の改正若しくは適用


≪振替時会計処理≫
 振替額 :変更時時価

 評価差額:『有価要件運用損益』等で振替
       時に損益計上
売買目的有価証券への分類はその取得当初の意図に基づいて行われるものであるため、取得後におけるその他有価証券への振替は、原則として認められません。

ただし、資金運用方針の変更、又は法令若しくは基準等の改正若しくは適用に伴い、トレーディング取引を行わないこととした場合には、全ての売買目的有価証券をその他有価証券に振り替えることが認められます。

その際には、振替え時の時価をもって、その他有価証券を計上します。

時価評価差額については、『有価証券運用損益』等の勘定科目で、振替え時の純損益に計上します。 【根拠資料】
金融商品会計に関する実務指針第85項・[設例8]
下記では、公社債の保有目的区分を売買目的有価証券からその他有価証券に変更する場合の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【根拠資料】
金融商品会計に関する実務指針[設例8]
前提条件
A社はB社社債について、下記の取引を行った。

・X1年3月31日時点において、B社社債時価4,500千円を売買
 目的有価証券として保有している
・X1年4月2日に資金運用方針を変更し、B社社債について
 トレーディング取引を行わないこととした
・X1年4月2日のB社社債の時価は5,000千円であった
・売買目的有価証券の評価損益については切放法を採用して
 いる
・A社の決算日は3月31日

① X1年4月2日(保有目的変更時)
借方 貸方
投資有価証券 5,000千円千円※1 有価証券 4,500千円※2
有価証券運用損益 500千円※3
※1振替時B社社債時価5,000千円
※2振替時B社社債帳簿価額
※3売買目的有価証券として計上していたB社社債の振替時
  時価5,000千円-振替時帳簿価額4,500千円
売買目的有価証券として保有していた有価証券につて、振替時の時価でその他有価証券に振替え、評価時の差額については、振替時の損益として計上します。
次のページでは、公社債の保有目的区分をその他有価証券から売買目的有価証券に変更する場合の会計処理について具体的にご紹介します。