満期保有目的の債権に分類される公社債の償却原価法
(利払が半年毎のケース)
【公社債の償却原価法】
満期保有目的の債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得し、差額の性格が金利の調整と認められる場合、
償却原価法を適用
【償却額の計算方法】
原則:利息法
例外:定額法(要継続適用)
【償却額の会計処理】
損益:金利調整差額として有価証券利息に
計上
資産:公社債の簿価に加算
(償却原価でBS計上)
満期保有目的の債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得し、差額の性格が金利の調整と認められる場合、
償却原価法を適用
【償却額の計算方法】
原則:利息法
例外:定額法(要継続適用)
【償却額の会計処理】
損益:金利調整差額として有価証券利息に
計上
資産:公社債の簿価に加算
(償却原価でBS計上)
満期保有目的の債権に区分される公社債を、債権の額面金額より低い価格又は、高い価格で取得した場合で、債権金額と取得価額の差額の性格が金利の調整と認められる場合は、償却原価法を適用して、金利及び公社債の帳簿価額の調整を行います。
『差額の性格が金利の調整と認められる場合』とは、差額がクーポンレートと取得時の市場利子率との調整に基づくものである場合を言います。
償却原価法では、その差額分を受渡日から償還日にわたって期間配分します。
償却原価法における各期の償却額の算定方法は、原則として利息法によりますが、継続適用を条件に、簡便法である定額法を採用することもできます。
利息法とは、債券のクーポン受取総額と金利調整差額の合計額を債券の帳簿価額に対し一定率(実効利子率)となるように、複利をもって各期に配分する方法です。
それに対して定額法は、債券の金利調整差額を取得日から償還日までの期間で除して各期に配分する方法です。
いずれも、期間配分された償却額は、PLでは有価証券利息へ計上され、BSでは公社債の帳簿価額に加減されます。
満期保有目的の債権に該当する公社債は、基本的には取得価額でBS計上されますが、償却原価法を適用する場合は、償却原価(償却原価法に基づいて算定された価額)をもって、貸借対照表価額とされます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第16・71項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第70項・[設例4]
『差額の性格が金利の調整と認められる場合』とは、差額がクーポンレートと取得時の市場利子率との調整に基づくものである場合を言います。
償却原価法では、その差額分を受渡日から償還日にわたって期間配分します。
償却原価法における各期の償却額の算定方法は、原則として利息法によりますが、継続適用を条件に、簡便法である定額法を採用することもできます。
利息法とは、債券のクーポン受取総額と金利調整差額の合計額を債券の帳簿価額に対し一定率(実効利子率)となるように、複利をもって各期に配分する方法です。
それに対して定額法は、債券の金利調整差額を取得日から償還日までの期間で除して各期に配分する方法です。
いずれも、期間配分された償却額は、PLでは有価証券利息へ計上され、BSでは公社債の帳簿価額に加減されます。
満期保有目的の債権に該当する公社債は、基本的には取得価額でBS計上されますが、償却原価法を適用する場合は、償却原価(償却原価法に基づいて算定された価額)をもって、貸借対照表価額とされます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第16・71項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第70項・[設例4]
【利払が半年毎の場合の利息法における各期の償却額の計算】
半年毎の償却額
=公社債帳簿価額×(実行利子率÷2)-額面総額
×(クーポン利子率÷2)
※半年複利で計算
※利率は年率の1/2を使用
半年毎の償却額
=公社債帳簿価額×(実行利子率÷2)-額面総額
×(クーポン利子率÷2)
※半年複利で計算
※利率は年率の1/2を使用
利払いが半年ごとの公社債に利息法を適用する場合、半年複利で計算を行います。
具体的には、半年を1期間として、クーポン利子・実効利子どちらも、半年ごとの利息を年利の1/2の利率を用いて、各期間の利息を算定します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針[設例4]
具体的には、半年を1期間として、クーポン利子・実効利子どちらも、半年ごとの利息を年利の1/2の利率を用いて、各期間の利息を算定します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針[設例4]
下記では、満期保有目的の債権に分類される公社債に償却原価法を適用する場合の、利払が半年毎のケースの例を使用して会計処理をご紹介します。
【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針[設例4]
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針[設例4]
前提条件 |
---|
A社はB社社債について、下記の取引を行った。
・X1年4月1日にB社社債額面総額10,000千円を9,726千円で 取得した ・B社社債の満期日はX4年3月31日である ・B社社債のクーポン利子率は4%である ・B社社債の利払日は毎年9月末・3月末の年2回 ・B社社債の額面と購入価額の差額は金利の調整と認めら れる ・B社社債は満期保有目的の債権に区分されている ・A社の決算日は3月31日である |
【原則:利息法での会計処理】
■実効利子率の算定
毎半年のクーポン利子=額面10,000千円×(4%÷2)=200千円
クーポン利子200千円÷(1+r÷2)+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^2+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^3+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^4+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^5+(クーポン利子200千円+額面総額10,000千円)÷(1+r÷2)^6
=9,726千円
r=5%
毎半年のクーポン利子=額面10,000千円×(4%÷2)=200千円
クーポン利子200千円÷(1+r÷2)+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^2+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^3+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^4+クーポン利子200千円÷(1+r÷2)^5+(クーポン利子200千円+額面総額10,000千円)÷(1+r÷2)^6
=9,726千円
r=5%
① X1年4月1日(取得時)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 9,726千円※1 | 現金預金 9,726千円※1 |
※1B社社債購入価額
B社社債購入価額を投資有価証券として資産計上します。
② X1年9月30日(第一回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 43千円※4 |
有価証券利息 243千円※3 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※3B社社債帳簿価額9,726千円×(実効利子率5%÷2)
※4貸借差額
※3B社社債帳簿価額9,726千円×(実効利子率5%÷2)
※4貸借差額
受取ったクーポン利息を現金預金として計上すると同時に、実効利子率で有価証券利息を計上します。両者の差額は、投資有価証券に計上して、社債の帳簿価額に加算します。
③ X2年3月31日(第二回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 44千円※6 |
有価証券利息 244千円※5 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※5B社社債帳簿価額9,769千円×(実効利子率5%÷2)
※6貸借差額
※5B社社債帳簿価額9,769千円×(実効利子率5%÷2)
※6貸借差額
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
④ X2年9月30日(第三回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 45千円※8 |
有価証券利息 245千円※7 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※8B社社債帳簿価額9,813千円×(実効利子率5%÷2)
※7貸借差額
※8B社社債帳簿価額9,813千円×(実効利子率5%÷2)
※7貸借差額
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑤ X3年3月31日(第四回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 46千円※10 |
有価証券利息 246千円※9 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※9B社社債帳簿価額9,858千円×(実効利子率5%÷2)
※10貸借差額
※9B社社債帳簿価額9,858千円×(実効利子率5%÷2)
※10貸借差額
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑥ X3年9月30日(第五回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 48千円※12 |
有価証券利息 248千円※11 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※12B社社債帳簿価額9,904千円×(実効利子率5%÷2)
※11貸借差額
※12B社社債帳簿価額9,904千円×(実効利子率5%÷2)
※11貸借差額
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑦ X4年3月31日(第六回利払日&償還日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※2
投資有価証券 48千円※14 現金預金 10,000千円※15 |
有価証券利息 248千円※13
投資有価証券 10,000千円※15 |
※2額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※13B社社債帳簿価額9,952千円
×(実効利子率5%÷2)(端数調整を含む)
※14貸借差額
※15社債償還額
※13B社社債帳簿価額9,952千円
×(実効利子率5%÷2)(端数調整を含む)
※14貸借差額
※15社債償還額
前回利払い日と同様の会計処理で有価証券利息を計上します。同時に、償還した社債をマイナスし、償還により受取った現金預金を資産計上します。
【例外:定額法での会計処理】
① X1年4月1日(取得時)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 9,726千円※1 | 現金預金 9,726千円※1 |
※1B社社債購入価額
B社社債購入価額を投資有価証券として資産計上します。
② X1年9月30日(第一回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 46千円※2 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 46千円※2 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
受取ったクーポン利息を現金預金及び、有価証券利息として計上します。同時に、金利の調整部分についても、額面総額と取得価額の差額を利息期間で除した金額を有価証券利息に計上し、相手勘定で投資有価証券を調整します。
③ X2年3月31日(第二回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 46千円※2 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 46千円※2 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
④ X2年9月30日(第三回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 46千円※2 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 46千円※2 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑤ X3年3月31日(第四回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 46千円※2 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 46千円※2 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑥ X3年9月30日(第五回利払日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 45千円※2 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 45千円※2 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)(端数調整後)
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)(端数調整後)
前回利払い日と同様の会計処理を行います。
⑦ X4年3月31日(第六回利払日&償還日)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 200千円※1
投資有価証券 45千円※2 現金預金 10,000千円※3 |
有価証券利息 200千円※1
有価証券利息 45千円※2 投資有価証券 10,000千円※3 |
※1額面金額10,000千円×(クーポン利子率4%÷2)=200千円
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)(端数調整後)
※3社債償還額
※2(額面総額10,000千円-取得価額9,726千円)
÷(利息期間3年×2回)(端数調整後)
※3社債償還額
前回利払い日と同様の会計処理で有価証券利息を計上します。同時に、償還した社債をマイナスし、償還により受取った現金預金を資産計上します。
次のページでは、満期保有目的の債権に分類される公社債の期末評価の会計処理について具体的にご紹介します。