開業費の会計処理

開業費とは、会社成立後営業開始時までに開業準備のために直接支出した費用のことを言います。具体的には、下記のような支出が挙げられます。
【開業費となる支出】

●土地・建物の賃借料

●広告宣伝費

●通信交通費

●事務用消耗品費

●支払利子

●使用人の給与

●保険料

●水道電気ガス料金

●その他会社成立後営業開始時迄に支出した開業準備費用
開業費は、原則として支出時に費用として計上します。

開業準備活動は通常の営業活動ではないため、開業費は原則として営業外費用として処理しますが、営業活動と密接であること及び実務上の便宜を考慮して、販売費及び一般管理費として処理することも認められています。

さらに、例外として繰延資産計上することも認められています。
繰延資産計上できる開業費の範囲については、会社設立から開業までに支出した一切の費用とする考え方もありますが、そのような支出にはその効果が将来にわたって発現することが明確でないものが含まれている可能性があります。

そのため、繰延資産として計上できる開業費は、開業準備のために直接支出したものに限定されています。
繰延資産に計上した開業費は、開業の時から5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって定額法で償却します。この「開業の時」には、その営業の一部を開業したときも含みます。

開業費の償却費は、支出時に費用計上する場合と同様に、原則営業外費用に計上しますが、例外として販売費及び一般管理費に計上することも認められています。
開業費の原則の会計処理 開業費の例外の会計処理

支出時に費用として計上
(原則:営業外費用/
例外:販売費及び一般管理費)

支出時に繰延資産として計上し
⇒5年以内で償却により費用化
 (原則:営業外費用/
例外:販売費及び一般管理費)
(繰延資産の会計処理に関する当面の取り扱い第3項(4))
なお、支出の効果が期待されなくなった繰延資産については、その未償却残高を一時に償却しなければなりません。(繰延資産の会計処理に関する当面の取り扱い第3項(6))
開業費に適用した会計処理は、その後の開業費に対しても同一の会計処理を適用しなければなりません。

開業費を会計処理した年度の前事業年度に同じく開業費を会計処理している場合で、前年度と異なる会計処理を採用する場合は、原則として会計方針の変更として取り扱います。

ただし、支出内容に著しい変化がある場合には、新たな会計事実の発生として、会計方針の変更とせずに異なる会計方針を選択することができます。

この場合、異なる会計方針を採用した旨及び、同一の会計処理を採用した場合の想定値と比較した影響額、会計方針の変更として取り扱わなかった理由を追記情報として注記します。(繰延資産の会計処理に関する当面の取り扱い第3項(7))
下記では、開業費を繰延資産として計上するケースの会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社はX1年4月1日に開業準備のための費用を総額10,000千円支出し、繰延資産に計上した。

・開業費は5年間で月額均等償却する
・A社の決算日は3月31日
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(開業費の支出時)
借方 貸方
開業費 10,000千円※1 現金 10,000千円※1
※1開業準備のための支出総額
開業準備のために支出した費用を、”開業費”の費目で繰延資産として計上します。
② X2年3月31日(第1回決算日)
借方 貸方
開業費償却 2,000千円※2 開業費 2,000千円※2
※2 10,000千円÷60カ月×12カ月
資産として計上した開業費の内、当期の月数の分の金額を償却費として費用計上します。
③ X3年3月31日(第2回決算日)
借方 貸方
開業費償却 2,000千円※3 開業費 2,000千円※3
※3 10,000千円÷60カ月×12カ月
第1回決算日と同様の仕訳を行います。
④ X4年3月31日(第3回決算日)
借方 貸方
開業費償却 2,000千円※4 開業費 2,000千円※4
※4 10,000千円÷60カ月×12カ月
第2回決算日と同様の仕訳を行います。
⑤ X5年3月31日(第4回決算日)
借方 貸方
開業費償却 2,000千円※5 開業費 2,000千円※5
※5 10,000千円÷60カ月×12カ月
第3回決算日と同様の仕訳を行います。
⑥ X6年3月31日(第5回決算日)
借方 貸方
開業費償却 2,000千円※6 開業費 2,000千円※6
※6 10,000千円÷60カ月×12カ月
第4回決算日と同様の仕訳を行います。当該仕訳を完了すると開業費の帳簿価額はゼロとなり償却が完了します。
次のページでは、開発費の会計処理について具体的にご紹介します。