ファイナンス・リース取引の
注記(貸手)

所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸手で計上するリース投資資産については、その内訳として、借手から将来のリース料を収受する権利部分と、借手側からの保証が無い見積残存価額部分について、いずれも利息相当額控除前の金額を注記しなければなりません。
リース投資資産に含まれる借手から将来のリース料を収受する権利部分と、見積もり残存価額部分では性格が異なるため、このような注記が要求されています。
同時に、当該注記におけるリース料債権部分と見積残存価額部分と、リース投資資産残高との関係を明らかにするため、受取利息相当額についても注記しなければならないとされています。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準20・45項)
【リース投資資産の内訳の注記】

① リース料債権部分の利息相当額控除前の金額(将来のリース料を収受する権利部分)

② 見積残存価額の利息相当額控除前の金額(貸手側による保証のない部分)

③ 受取利息相当額
また、所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債権、及び、所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース投資資産の将来のリース料を収受する権利部分については、貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額、及び5年超の回収予定額を注記します。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準21・45項)
【リース債権及びリース投資資産のリース料債権部分の内訳の注記】

① 貸借対照表日後5年以内における1年ごとの回収予定額

② 5年超の回収予定額
ただし、リース取引に重要性が乏しい場合には、上記のいずれの注記も省略できるとされています。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準20・21項)
リース取引に重要性が乏しいと認められる場合の判断基準は、利息相当額を簡便的な方法で処理する場合と同様です。(リース取引に関する会計基準の適用指針71項)
具体的には、未経過リース料及び見積残存価額の合計額の期末残高が、当該合計額の残高と営業債権の期末残高の合計に占める割合が10パーセント未満である場合をいいます。
ただし、リース取引を主たる事業としている企業については、注記を省略することは認められていません。
【リース取引の重要性の判断基準】

未経過リース料&見積残存価額期末残高÷(未経過リース料&見積残存価額&営業債権期末残高)<10%
※リース取引を主たる事業とする企業は簡便法の適用不可
連結財務諸表においては、連結財務諸表の数値を基礎としてこの判定を見直すことが出来ます。(リース取引に関する会計基準の適用指針60項)
また、貸手のファイナンス・リース取引の会計処理としては3つの選択肢があるため、重要な会計方針においていずれの方法を採用したかを注記する必要があります。(リース取引に関する会計基準の適用指針51・72項)
次のページでは、オペレーティング・リース取引借手の会計処理についてご紹介します。