ファイナンス・リース取引の
簡便法(借手)

ファイナンス・リース取引の借手において、リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース総額から利息相当額の合理的な見積額を控除します。控除した利息相当額は、リース期間にわたり利息法により各期に配分します。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準11項)
所有権移転ファイナンス・リース取引については、この原則の利息法での処理のみが認められております。それに対して、所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、簡便的な方法により利息相当額を取り扱うことが出来るとされています。
簡便的な方法としては、下記の2つの方法があり、いずれかの方法を選択適用します。(リース取引に関する会計基準の適用指針31・106・107・108・116項)

①リース料総額から利息相当額の合理的な見積額を控除しない
 方法

 リース資産・リース負債はリース料総額で計上され、
 支払利息は計上されず、減価償却費のみが計上される。

②利息相当額の各期への配分を定額法による方法

 リース総額から利息相当額の合理的な見積額を控除して
 リース資産・リース負債を計上するが、利息相当額の各期へ
 
 配分は定額法による。
リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過リース料の期末残高が、当該未経過リース料の期末残高と有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計に占める割合が10パーセント未満である場合をいいます。
この計算における未経過リース料の期末残高には、原則法の利息法で処理したリース取引や、リース取引に関する会計基準の適用指針34項の少額リース・短期リースに該当し賃貸借処理したリース取引に係るものは含まれません。(リース取引に関する会計基準の適用指針32・115項)
【リース取引の重要性の判断基準】

未経過リース料期末残高÷(未経過リース料期末残高&有形固定資産&無形固定資産期末残高)<10%

※未経過リース料期末残高には原則法及び賃貸借処理をしたリース取引分は含まない
連結財務諸表においては、連結財務諸表の数値を基礎としてこの判定を見直すことが出来ます。見直した結果、個別財務諸表の結果の修正が必要な場合は、連結修正仕訳で修正を行います。(リース取引に関する会計基準の適用指針33項)
また、当該簡便的な方法で会計処理をしていた会社において、新規リース取引の開始などにより、リース取引の重要性の判断基準を満たさなくなった場合、以降の会計処理は原則法により行わなければなりません。

その際に、簡便法を適用していた既存のリース取引の取り扱いについては、そのまま簡便法を適用し続ける方法と、新規のリース取引とともに過去に遡て原則法に修正する方法の2つから選択することができます。(リース取引に関する会計基準の適用指針設例5)
次のページでは、ファイナンス・リース取引の借手におけるリース資産の減価償却方法についてご紹介します。