経済的耐用年数基準とは

解約不能のリース期間が、リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上である場合、ファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定基準の1つであるフルペイアウトの要件を満たすと判断されます。この判定基準のことを経済的耐用年数基準といいます。(リース取引に関する会計基準の適用指針9項)
基準が『概ね』75%とされているのは、判定に見積の要素が多いためであり、例えば経済的耐用年数基準74%といった75%を下回る結果であっても実質的にフルペイアウトであると考えられる場合は、ファイナンス・リース取引と判定されることになります。(リース取引に関する会計基準の適用指針94項)
フルペイアウトの原則の判定基準は現在価値基準であり、経済的耐用年数基準はその簡便法として位置づけられています。そのため、リース物件の特性、経済的耐用年数の長さ、中古市場の存在により、借手がリース物件に係るほとんどすべてのコストを負担しないことが明らかな場合は、経済的耐用年数基準で75%以上であったとしても、例外的に原則である現在価値基準の判定に戻り、現在価値基準で90%を下回る場合にはファイナンス・リース取引には該当しないと判定されます。(リース取引に関する会計基準の適用指針13・94項)
経済的耐用年数基準でいう「経済的耐用年数」は、物理的使用可能期間ではなく経済的使用可能予測期間に見合った年数によるものとされており、経済的使用可能予測期間と著しい相違がある等の不合理と認められる事情のない限り、税法耐用年数を用いて判定を行うことも認められています。(リース取引に関する会計基準の適用指針96項)
現在価値基準と同様に、リース取引の置かれている状況からみて、借手が再リースを行う意思が明らかな場合、再リース期間についても解約不能のリース期間に含まれます。(リース取引に関する会計基準の適用指針12項)
また、1つのリース契約が多数のリース物件から構成されているような場合には、個々のリース物件ごとに経済的耐用年数基準の判定を行わずに全リース物件の加重平均耐用年数により判定を行うことも認められています。(リース取引に関する会計基準の適用指針96項)
次のページでは、リース取引での少額&短期リースの簡便的な取り扱いについてご紹介します。