ファイナンス・リース取引の貸手におけるリース債権・リース投資資産の計上額

ファイナンス・リース取引は、貸手においても通常の売買取引に準じて会計処理を行います。リース取引開始日には、リース物件の売却による債権を、所有権移転ファイナンス・リース取引についてはリース債権として、所有権移転外ファイナンス・リース取引についてはリース投資資産として計上します。
このリース債権とリース投資資産の取引開始日の計上額は、第1法の場合はリース料等の総額により、第2法と第3法の場合は貸手におけるリース物件の取得価額により行います。リース物件の取得価額は、リース物件を外部から購入した場合は購入価額、製作した場合は製作価額を用います。リース資産を借手の使用の用に供するための費用が発生した場合は、当該付随費用も合算した金額を用います。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準13項
リース取引に関する会計基準の適用指針51・61)
特殊なケースとして、当該リース物件を製品または商品として販売することを主たる事業としている企業が、同時に貸手として同一製品又は商品をリース取引の対象物件としている場合、取引開始日のリース債権・リース投資資産計上額は借手に対する現金販売価額により行います。貸手における取得価額と現金販売価額の差額は、リース物件の販売益として取り扱います。当該販売益は、販売基準の場合は販売した時点で、割賦基準の場合はリース期間にわたって収益認識処理を行います。
ただし、当該販売益の金額が、リース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、リース債権・リース投資資産の取引開始日の計上額を取得価額により行い、販売益は利息相当額に含めて処理することが出来ます。
また、当該販売益を割賦基準により処理する場合は、結果的に販売益がリース期間に配分され、利息相当額に含める場合と利益計上額に大きな差が生じないと想定されます。そのため、重要性が乏しい場合と同様に、リース債権・リース投資資産の取引開始日の計上額を取得価額により行い、販売益は利息相当額に含めて処理することが出来ます。(リース取引に関する会計基準の適用指針56・66・128項)
ケース リース債権・リース投資資産
計上額

第1法を採用

リース料等総額

リース物件を外部から購入

現金購入価額

リース物件を自ら製作

製作価額

リース物件と同一の商品・製品を販売することを主たる事業としている企業の場合

貸手に対するリース物件の現金販売額
※販売益の金額に重要性が乏しい場合と割賦基準により会計処理している場合は簡便的に取得価額で計上することが出来る
次のページでは、ファイナンス・リース取引の貸手の計算利子率についてご紹介します。