リース取引の重要性の判断における
転リースの取り扱い

Question
リース取引に関する重要性の判断においては、転リース分の未経過リース料及びリース物件の見積存価額は除外して判定してもよいのでしょうか?それとも、転リースについても含めたうえで重要性の判定を行わなければならないのでしょうか?
【Answer】
リース取引に関する重要性の判断においては、転リース分の未経過リース料及びリース物件の見積存価額は除外して判定を行います。
転リース取引において、借手としてのリース取引及び貸手としてのリース取引の双方がファイナンス・リース取引に該当する場合、貸借対照表上はリース取引の相手先が異なるため、リース債務とリース債権又はリース投資資産の双方を計上することになり、借手としても貸手としても未経過リース料及びリース物件の見積存価額が生じます。
そしてこの借手及び貸手としての未経過リース料及びリース物件の見積存価額を、利息相当額を簡便的な方法で処理してよいかの判定に含めるかどうかが論点となります。
通常の所有権移転外ファイナンス・リース取引については、借手に関してはリース取引に関する会計基準の適用指針31~33で、貸手に関してはリース取引に関する会計基準の適用指針59・60で利息相当額の簡便的な取扱が、下記のように規定されています。
借手:下記の重要性の判断基準を満たす場
   合、利息相当額をリース料総額から控
   除しない方法、又は、定額でリース
   
   間に配分する方法を採用することがで
   きる。

【リース取引の重要性の判断基準】

未経過リース料期末残高÷(未経過リース料期末残高&有形固定資産&無形固定資産期末残高)
<10%

※未経過リース料期末残高には原則法及び
 賃貸借処理をしたリース取引分は含まない
貸手:下記の重要性の判断基準を満たす場
   合、利息相当額を定額でリース期間に
   わたって収益認識
   する方法を採用する
   ことができる。

【リース取引の重要性の判断基準】

未経過リース料&見積残存価額期末残高÷(未経過リース料&見積残存価額&営業債権期末残高)<10%
※未経過リース料&見積残存価額期末残高には
 利息法を適用したリース取引分は含まない

※リース取引を主たる事業とする企業は簡便
 法の適用不可
それに対して、転リース取引については、リース取引に関する会計基準の適用指針47項で、利息法を原則としながらも、リース債権又はリース投資資産とリース債務利息相を当額控除前の金額で計上する方法を選択適用することができると規定しています。
このように、利息相当額の簡便的な取り扱いについて、通常のリース取引と転リース取引で別々に規定されいるため、簡便的な方法を適用するかについては両者はそれぞれ個別に判断されるものであり、リース取引に関する重要性の判断においては、転リース分の未経過リース料及びリース物件の見積存価額は除外して判定を行うことが適切であると考えられます。
次のページでは、セルアンドリースバック取引を転リースした場合の会計処理をご紹介します。