法令又は契約で要求される法律上の義務
及びこれに準ずるものとは

資産除去債務は、法令又は契約で要求される法律上の義務及びこれに準ずるものと定義されています。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準3項(1))
法令で要求される法律上の義務には、「石綿障害予防規則」で規定されているアスベストを含む建物の除去時の費用負担など、法令で明確に義務付けられたものが該当します。
一般に資産除去債務に関連すると考えられる国の法令には、下記のようなものが挙げられます。
法令名 資産の除去に関連する義務
土壌汚染対策法 ・指定調査機関による土壌汚染状況
 の調査
・調査結果、一定基準を超える汚染が
 判明した場合には、都道府県知事に
 
 よる除去措置命令が出される
建設工事に係る資材の 再資源化等に関する法律
 (建設リサイクル法)
・一定規模以上の解体、新築または
 増築工事等における分解等及び
 再資源
 化等に要する費用の適切な負担
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律
 (フロン回収破壊法)
・フロン類が充填されている業務用の
 エアコン、冷蔵機器、冷凍機器の
 
 棄等のフロン類回収業者への
 引き渡し
PCB特別措置法 ・PCBを含む機器等の適正処理
石綿障害予防規則 ・アスベスト勧誘調査
・アスベストを含有する建物の解体時に
 おける適正処理
家電リサイクル法
(特定家庭用機器再商品化法)
・指定された収集運搬者、再商品化業者
 への特定家庭用機器の引き渡し、
 
 処理費用の負担
契約で要求される義務は、賃貸借契約時の現状回復義務など、当事者間の契約で明確に義務付けられたものが該当します。
法律上の義務に準ずるものとは、法令でも契約でも明確に義務づけられていないものの、債務の履行を逃れることがほぼ不可能で、法律又は契約で要求される法律上の義務と同等の不可避な義務のことを指します。
具体的には、法律上の“解釈”により要求される義務、過去の判例や行政当局の通達等のうち、法律上の義務とほぼ同等の不可避な支出が義務付けられるものが該当します。
それに対して、有形固定資産の除去が企業の自発的な計画のみによって行われる場合は、法律上の義務に準ずるものには該当しないとされています。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準28項)
次のページでは、資産除去債務の対象となる除去とは何かについて、ご紹介します。