資産除去債務額の
キャッシュ・フロー計算書上の表示

資産除去債務に関して、実際に現金の収支が発生するのは、資産除去を履行したタイミングのみです。そのため、キャッシュ・フロー計算書上のキャッシュの増減では、履行時の支出額のみが登場します。
その履行時の支出額については、キャッシュ・フロー計算書上で「投資活動によるキャッシュ・フロー」の項目として取り扱います。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針12項)
現行の実務においては、資産除去債務の対象外の資産の除去に関するキャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」として処理することが多いと考えられており、資産除去債務の対象の資産の除去に関しても、一見、同様の区分で処理することが適切であるように思われます。

しかし、資産除去債務の対象となる除去費用は、固定資産の取得に関する付随費用と同様に処理されるものであること、および、固定資産の売却収入の控除項目であることを勘案して、固定資産の取得及び売却の収支と同様に「投資活動によるキャッシュ・フロー」に含めることとされています。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針28項)
また、実際のキャッシュ・アウトは伴わないものの、重要な資産除去債務を計上したときは、キャッシュ・フロー計算書に「重要な非資金取引」として注記を行います。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針13項)
次のページでは、資産除去債務の対象有形固定資産に減損の兆候がある場合の取り扱いについてご紹介します。