資産除去債務の注記
資産除去債務の会計処理に関連しては、重要性が乏しい場合を除き、財務諸表において次の事項を注記します。
①資産除去債務の内容についての簡潔な説明
②支出発生までの見込期間、適用した割引率等の
前提条件
③資産除去債務の総額の期中における増減内容
④資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の
概要及び影響額
⑤資産除去債務を合理的に見積ることができないため、
資産除去債務を計上していない場合には、
当該
資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない
旨及びその理由
②支出発生までの見込期間、適用した割引率等の
前提条件
③資産除去債務の総額の期中における増減内容
④資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の
概要及び影響額
⑤資産除去債務を合理的に見積ることができないため、
資産除去債務を計上していない場合には、
当該
資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない
旨及びその理由
(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準16項)
資産除去債務に関する会計基準16項)
”①資産除去債務の内容についての簡潔な説明”については、資産除去債務の内容について簡単な説明を記載します。
また、資産除去債務の将来における支払いを確実に行うために、担保など法的に制限されたものが設定されている場合や、資金の積立を行っている場合、このような情報は有用であるという観点から、”①資産除去債務の内容についての簡潔な説明”の中で記載することが適当であると考えられます。(企業会計基準第18号資産除去債務に関する会計基準60項)
また、資産除去債務の将来における支払いを確実に行うために、担保など法的に制限されたものが設定されている場合や、資金の積立を行っている場合、このような情報は有用であるという観点から、”①資産除去債務の内容についての簡潔な説明”の中で記載することが適当であると考えられます。(企業会計基準第18号資産除去債務に関する会計基準60項)
以下では、期末財務諸表への注記の具体例をご紹介します。(参考:資産除去債務に関する会計基準の適用指針〔設例7-1〕)
【資産除去債務計上初年度の注記】
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%を採用している。当事業年度において資産除去債務に計上した金額は4,767千円である。当事業年度末におけ る資産除去債務残高は、上記金額4,767千円と時の経過による資産除去債務の調整額119千円の合 計4,886千円である。
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%を採用している。当事業年度において資産除去債務に計上した金額は4,767千円である。当事業年度末におけ る資産除去債務残高は、上記金額4,767千円と時の経過による資産除去債務の調整額119千円の合 計4,886千円である。
【資産除去債務計上後、除却前の各年度の注記】
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%を採用している。当事業年度において、資産の除去時点において必要とされる除去費用が、固定資産取得時における見積額を大幅に超過する見込みであることが明らかになったことから、見積りの変更による増加額を2.0%で割り引き、変更前の資産除去債務残高に525千円加算している。
当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
期首残高 7,575千円
時の経過による調整額 189千円
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上している。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%を採用している。当事業年度において、資産の除去時点において必要とされる除去費用が、固定資産取得時における見積額を大幅に超過する見込みであることが明らかになったことから、見積りの変更による増加額を2.0%で割り引き、変更前の資産除去債務残高に525千円加算している。
当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
期首残高 7,575千円
時の経過による調整額 189千円
見積りの変更による増加額 525千円
期末残高 8,289千円
【除去年度の注記】
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上していた。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%(見積りの変更による増額分は2.0%)を採用していた。当事業年度において、事業用定期借地権の契約期間が満了したため、契約の終了に合わせて店舗の除去を行った。当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
期首残高 9,803千円
時の経過による調整額 197千円
当社は、20X0年4月1日に複合型商業施設内に建設した店舗について、事業用定期借地権(30年)付の不動産賃借契約に従い、資産除去債務を計上していた。資産除去債務の見積りにあたり、使用見込期間は取得から30年間、割引率は2.5%(見積りの変更による増額分は2.0%)を採用していた。当事業年度において、事業用定期借地権の契約期間が満了したため、契約の終了に合わせて店舗の除去を行った。当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
当事業年度における資産除去債務の残高の推移は次のとおりである。
期首残高 9,803千円
時の経過による調整額 197千円
資産除去債務履行による減少額
△10,000千円
期末残高 0千円
△10,000千円
また、資産除去債務を合理的に見積もることができないため、資産除去債務を計上していない場合には、財務諸表において次の事項を注記します。
①当該資産除去債務の概要
②合理的に見積ることができない旨及びその理由
②合理的に見積ることができない旨及びその理由
(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準16項)
資産除去債務に関する会計基準16項)
以下では、資産除去債務を合理的に見積もることができない場合の、期末財務諸表への注記の具体例をご紹介します。(参考:資産除去債務に関する会計基準の適用指針〔設例8〕)
【資産除去債務を合理的に見積ることができない場合の注記例】
当社は、複合型商業施設内に建設した店舗の事業用定期借地権付の不動産賃借契約に基づき、店舗の退去時における原状回復に 係る債務を有しているが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、将来店舗 を移転する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積ることができない。そのため、 当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。
当社は、複合型商業施設内に建設した店舗の事業用定期借地権付の不動産賃借契約に基づき、店舗の退去時における原状回復に 係る債務を有しているが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、将来店舗 を移転する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積ることができない。そのため、 当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。
さらに、重要な資産除去債務を計上したときは、キャッシュ・フロー計算書に「重要な非資金取引」として注記を行います。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針13項)
次のページでは、資産除去債務のキャッシュ・フロー計算書上の表示についてご紹介します。