資産除去債務の割引率

資産除去債務の計上額は、有形固定資産の除却に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価額)で算定します。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準6項)
この時、割引価額を算定するのに用いる割引率は、無リスクの税引前の利率とされています。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準6項(2))
したがって、実務上では将来キャッシュ・フローが発生するまでの期間に対応した利付国債の流通利回りなどを参考に、割引率を決定します。さらに、前将来キャッシュ・フローが税引前の数値であることに対応して、割引率も税引き前の数値を用います。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針23項)
資産除去債務の計上後、原則として割引率の変更は行わず、債務計上時の割引率を使用して、各期の資産除去債務残高と利息費用が算定されます。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準49項)
ただし、将来キャッシュ・フローの見積もりの変更があり、資産除去債務の額が増加する場合、その増加部分の金額については、その時点の割引率が適用されます。
反対に、将来キャッシュ・フローの見積もりの変更があり、資産除去債務の額が減少する場合には、当初の資産除去債務計上時の割引率が適用されます。
なお、過去に将来キャッシュ・フローの見積もりが増加した後に、再度見積もりの変更があり将来キャッシュ・フローが減少する場合で、減少部分に適用すべき割引率を特定できないときは、加重平均した割引率を適用します。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準11項)
次のページでは、資産除去債務の貸借対照表上の表示について紹介します。