資産除去債務の履行時期の見積りの変更

Question
資産除去債務を計上した後に、除去時期の見積もりの変更があった場合はどのような会計処理をすればよいでしょうか?
【Answer】
資産除去債務の対象資産を当初の除去予定時期よりも早くもしくは遅く除去することとなった場合など、資産除去債務の履行時期の見積に変更が生じた場合の処理方法については、資産除去債務会計基準等では明記されておりません。
この場合の資産除去債務額の見直し方法としては下記の2つのパターンが挙げられますが、企業会計基準をもとに解釈すると②の方法が適切だと考えられます。

 ①変更が生じた時点の資産除去債務の帳簿価格は修正
 せず、その後の利息費用を算定する際の割引率を変更
 して調整する

 ②適用する割引率は資産除去債務計上当初のものをその
 まま使用し、変更が生じた時点の資産除去債務の割引
 現在価値を
  算定し、帳簿価格との差額を資産除去債務
 及び関連する有形固定資産の帳簿価格に加減して処理
 をする
  
 ※その際の割引率は負債計上当初のものを使用する
 
資産除去債務の割引現在価値を算定する際の割引率は利付国債の流通利回りなどを参考に決定するとされており、①の方法では変更後の割引率がこの基準の条件を満たさなくなるため、適切ではありません。(資産除去債務に関する会計基準の適用指針23項)
また②の方法の場合、資産除去債務の将来キャッシュ・フローは増加していないため、適用する割引率は資産除去債務計上当初のものとなります。(企業会計基準第18号
資産除去債務に関する会計基準11項)
次のページでは、資産除去債務の対象が複数の有形固定資産から構成されている場合の会計処理をご紹介します。