市場販販売目的のソフトウェアの減価償却具体例8
(見込販売収益に基づき配分する方法/販売開始2年目の年度末に見積りの変更有りのケース)
無形固定資産に計上した市場販売目的のソフトウェアは、そのソフトウェアの性格に応じて、見込販売数量や見込販売収益に基づき配分する方法など、最も合理的と考えられる減価償却方法を採用すべきであるとされています。
ソフトウェアの見込販売数量等の見積りは、様々な要因により影響を受けるため、見積り時点では最善の見積もりであっても、時の経過に伴う新たな要因の発生等により変動することが予想されます。
そのため、いずれの減価償却方法による場合も、毎期見込販売数量等の見直し・検討を行わなければなりません。
その結果、見込販売数量等の変更が必要になった場合には、それ以降の減価償却費の補正計算を行うことになります。
(研究開発費等に係る会計基準四の5・(注5)
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書三の3(4)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第18・19・42・43項)
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書三の3(4)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第18・19・42・43項)
市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法についての詳細は、下記のページをご参照下さい。
市場販売目的のソフトウェアの減価償却
市場販売目的のソフトウェアの減価償却
下記では、資産計上した市場販売目的のソフトウェアを見込販売収益に基づき減価償却する方法において、販売開始2年目の年度末に見込販売収益の見積りの変更があるケースの会計処理を具体例を使用してご紹介します。
(参考:会計制度委員会報告第12号研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針【設例3】)
前提条件 | ||||||||||||||||
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A社はX1年4月1日に市場販売目的のソフトウェアYを無形固定資産として計上し、商品としてのソフトウェアの販売を開始した。
・ソフトウェアの資産計上額は12,000千円 ・販売開始時におけるソフトウェアの販売可能な見込有効 期間は3年 ・償却方法は見込販売収益に基づき配分する方法を採用 ・販売開始時における各期の見込販売数量及び見込販売収益 は下記の通り
・A社の決算日は3月31日 |
【A社の会計処理】
① X2年3月31日(第1回決算日)
① X2年3月31日(第1回決算日)
当期の販売実績は、販売開始時点の見込み通りであった。
借方 | 貸方 |
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減価償却費 6,000千円※1 | 減価償却累計額 6,000千円※1 |
※1下記の(1)と(2)の内大きい方の金額を適用
(1)見込販売収益に基づく減価償却費
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷当期以降の見込販売
収益(12,000千円+7,200千円+4,800千円)
×販売収益実績12,000千円=6,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷残存有効期間3年間
=4,000千円
(1)見込販売収益に基づく減価償却費
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷当期以降の見込販売
収益(12,000千円+7,200千円+4,800千円)
×販売収益実績12,000千円=6,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷残存有効期間3年間
=4,000千円
ソフトウェアYの減価償却費として、見込販売収益に基づく減価償却費と残存有効期間に基づく均等配分償却額の内、高い方の金額を計上します。
X1年度末に翌期以降の見込販売収益の見積もりの再検討を行ったが、販売開始時より変更はなかった。
② X3年3月31日(第2回決算日)
当期の販売実績は、販売開始時点の見込み通りであった。
借方 | 貸方 |
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減価償却費 3,600千円※2 | 減価償却累計額 3,600千円※2 |
※2下記の(1)と(2)の内大きい方の金額
(1)見込販売収益に基づく減価償却費
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-6,000千円)
÷当期首の将来見込販売収益(7,200千円+4,800千円)
×販売収益実績7,200千円=3,600千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-6,000千円)
÷残存有効期間2年間
=3,000千円
(1)見込販売収益に基づく減価償却費
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-6,000千円)
÷当期首の将来見込販売収益(7,200千円+4,800千円)
×販売収益実績7,200千円=3,600千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-6,000千円)
÷残存有効期間2年間
=3,000千円
第1回決算日と同様の仕訳を行います。
X2年度末に翌期以降の見込販売収益の見積もりの再検討を行い、下記のように見積りを変更した。
見込販売収益の見積りの再検討 | ||||||||
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X3年度の販売見込は下記の通りであった。
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③ X年4月31日(第3回決算日)
当期の販売実績は、前期末の見込み通りであった。
借方 | 貸方 |
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減価償却費 2,400千円※3 | 減価償却累計額 2,400千円※3 |
※3ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-6,000
千円-3,600千円)
千円-3,600千円)
期首の未償却残高を全額減価償却費として計上します。
次のページでは、市場販販売目的のソフトウェアの減価償却の具体例(見込販売数量/期末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回るケース)をご紹介します。