市場販販売目的のソフトウェアの減価償却具体例9
(見込販売数量に基づき配分する方法/期末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回るケース)
無形固定資産に計上した市場販売目的のソフトウェアは、そのソフトウェアの性格に応じて、見込販売数量や見込販売収益に基づき配分する方法など、最も合理的と考えられる減価償却方法を採用すべきであるとされています。
見込販売数量等の見積りで減価償却を行っていく中で、当期末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を超過するケースもあります。
市場販売目的のソフトウェアの経済価値は、将来の収益獲得に基づくものであるため、将来収益として回収できない部分の金額については資産として計上することはできません。
したがって、このような超過額は一時の費用又は損失として処理しなければなりません。
(研究開発費等に係る会計基準四の5
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書三の3(4)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第18・42・44項
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A-Q22)
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書三の3(4)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第18・42・44項
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A-Q22)
市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法についての詳細は、下記のページをご参照下さい。
市場販売目的のソフトウェアの減価償却
市場販売目的のソフトウェアの減価償却
下記では、資産計上した市場販売目的のソフトウェアを見込販売数量に基づき減価償却する方法において、期末の未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回るケースの会計処理を具体例を使用してご紹介します。
(参考:会計制度委員会報告第12号研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針【設例5】)
前提条件 | ||||||||||||||||
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A社はX1年4月1日に市場販売目的のソフトウェアYを無形固定資産として計上し、商品としてのソフトウェアの販売を開始した。
・ソフトウェアの資産計上額は12,000千円 ・販売開始時におけるソフトウェアの販売可能な見込有効 期間は3年 ・償却方法は見込販売数量に基づき配分する方法を採用 ・販売開始時における各期の見込販売数量及び見込販売収益 は下記の通り
の検討を行ったが、変更はなかった。 ・A社の決算日は3月31日 |
【A社の会計処理】
① X2年3月31日(第1回決算日)
① X2年3月31日(第1回決算日)
当期の販売実績は、販売開始時点の見込み通りであった。
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 5,000千円※1 | 減価償却累計額 5,000千円※1 |
※1下記の(1)と(2)の内大きい方の金額を適用
(1)見込販売数量に基づく減価償却費
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷当期首の将来見込
販売数量(500個+400個+300個)×販売数量実績500個
=5,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷残存有効期間3年間
=4,000千円
(1)見込販売数量に基づく減価償却費
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷当期首の将来見込
販売数量(500個+400個+300個)×販売数量実績500個
=5,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの制作価額12,000千円÷残存有効期間3年間
=4,000千円
ソフトウェアYの減価償却費として、見込み販売数量に基づく減価償却費と残存有効期間に基づく均等配分償却額の内、高いほうの金額を計上します。
② X3年3月31日(第2回決算日/通常の減価償却費の計上)
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 4,000千円※2 | 減価償却累計額 4,000千円※2 |
※2下記の(1)と(2)の内大きい方の金額
(1)見込販売数量に基づく減価償却費
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-5,000千円)
÷当期首の将来見込販売数量(400個+300個)
×販売数量実績400個=4,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-5,000千円)
÷残存有効期間2年間
=3,500千円
(1)見込販売数量に基づく減価償却費
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-5,000千円)
÷当期首の将来見込販売数量(400個+300個)
×販売数量実績400個=4,000千円
(2)残存有効期間に基づく均等配分償却額
ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-5,000千円)
÷残存有効期間2年間
=3,500千円
第1回決算日と同様の仕訳を行います。
③ X3年3月31日(第2回決算日/未償却残高が翌期以降の見込販売収益を上回る部分の損失計上)
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 1,500千円※3 | 減価償却累計額 1,500千円※3 |
※3下記の(1)と(2)の差額
(1)X2年度末の未償却残高
12,000千円-5,000千円-4,000千円=3,000千円
(2)翌期以降の見込販売収益
1,500千円
(1)X2年度末の未償却残高
12,000千円-5,000千円-4,000千円=3,000千円
(2)翌期以降の見込販売収益
1,500千円
X2期末の未償却残高が、翌期以降の見込販売収益を上回ってしまったため、両者の差額を減価償却費として費用処理します。
④ X年4月31日(第3回決算日)
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費 1,500千円※4 | 減価償却累計額 1,500千円※4 |
※4ソフトウェアYの期首未償却残高(12,000千円-5,000
千円-4,000千円-1,500千円)
千円-4,000千円-1,500千円)
期首の未償却残高を全額減価償却費として計上します。
次のページでは、市場販販売目的のソフトウェアの販売用の商品に関する会計処理について具体的にご紹介します。