自社利用目的のソフトウェアの減価償却

自社利用のソフトウェアについては、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる減価償却方法を採用すべきであるとされています。

自社利用のソフトウェアは市場販売目的のソフトウェアに比べて収益との直接的な対応関係が希薄な場合が多く、さらに、物理的な劣化を伴わない無形固定資産であることから、一般的には定額法による償却が合理的でと考えられます。

ただし、自社利用のソフトウェアでもサービス提供に用いるソフトウェアで将来の獲得収益を見積もることができるものなど、見込み販売収益に基づく減価償却を行う方が費用・収益の対応の観点からより合理的な場合は、その利用の実態に応じて合理的な方法を採用すべきである点に留意が必要です。

また、機械組み込みソフトウェアで、ソフトウェアを機械等と区分することなく有形固定資産として処理している場合、減価償却についても当該機械等の減価償却含めて一体として会計処理を行います。
【自社利用のソフトウェアの減価償却方法】
ケース 減価償却方法

一般的なケース

定額法による償却

見込み販売収益に基づく減価償却を行う方が費用・収益の対応の観点からより合理的な場合

利用の実態に応じて合理的な方法により償却

機械組み込みソフトウェアで、ソフトウェアを機械等と区分することなく有形固定資産として処理している場合

当該一体として処理した有形固定資産の減価償却を通じて償却
利用可能期間を基礎として償却を行う場合の耐用年数については、原則として5年以内とされています。

5年を超える年数とすることも可能ですが、その場合は合理的な根拠を要求されます。
【利用可能期間を基礎として償却を行う場合の耐用年数】
原則/例外 耐用年数

原則

5年

例外

5年超の期間
※合理的な根拠が要求される
自社利用のソフトウェアの利用可能期間の見積りは、様々な要因に影響を受けるものであり、それぞれの見積り時点では最善の見積もりであっても、時の経過に伴う新たな要因の発生により変更することが予想されます。

そのため、利用可能期間については、適宜見直しを行わなければなりません。

利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を変更した場合には、例えば下記のような計算式を使用して各期の減価償却費を計算します。
【各年度の減価償却費算定方法】

当事業年度(変更前)の減価償却額
=当期首における未償却残高×当事業年度の期間÷当期首における変更前の残存耐用年数

翌事業年度(変更後)の減価償却額
=翌期首における未償却残高×翌事業年度の期間÷翌期首における変更後の残存耐用年数
耐用年数の変更が、新たに入手可能となった情報に基づいている場合は、「会計上の見積もりの変更」に該当し、過年度訴求会計基準第17項で定められる取り扱いが必要となります。

それに対して、当該変更が過去定めた耐用年数がその時点での合理的な見積もりに基づくものではなく、事後的に合理的な見積もりに変更するものである場合、「過去の誤謬の訂正」に該当することに留意が必要です。
【耐用年数の変更の会計上の取り扱い】
利用可能期間の変更理由 会計上の取り扱い

新たに入手可能となった情報に基づいている

会計上の見積もりの変更に該当

過去定めた耐用年数がその時点での合理的な見積もりに基づくものではない

過去の誤謬の訂正に該当
(研究開発費等に係る会計基準四の5・(注5)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第21・41・45・46項
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A
-Q17・23)
次のページでは、自社利用目的のソフトウェアの定額法による減価償却の具体例をご紹介します。