社債の買入償還の会計処理
【買入償還(繰上償還)とは】
償還期日より前に社債を買い入れることにより償還すること
【買入償還の会計処理】
ステップ1：買入償還時の償却原価を算定
ステップ2：クーポン利息について端数利息を
計上
ステップ3：償還価額と社債簿価(償還時償却
原価)を相殺
※償却価額は額面金額ではな
く、買入価額(主に、社債時価)
ステップ4：償還差額を社債償還損勘定又は社
債償還益勘定で特別損益に計上
償還期日より前に社債を買い入れることにより償還すること
【買入償還の会計処理】
ステップ1：買入償還時の償却原価を算定
ステップ2：クーポン利息について端数利息を
計上
ステップ3：償還価額と社債簿価(償還時償却
原価)を相殺
※償却価額は額面金額ではな
く、買入価額(主に、社債時価)
ステップ4：償還差額を社債償還損勘定又は社
債償還益勘定で特別損益に計上
買入償還とは、償還期日より前に社債を買い入れることにより償還する方法を言います。
別名、繰上償還とも言います。
買入償還は、社債を発行した企業に、資金の余裕が有る場合などに実施されます。
具体的な取引としては、市場で流通している社債を、発行企業が時価で買い入れることで償還する方法が一般的です。
そのため、満期償還とは異なり、償還金額は社債の額面金額ではなく、買入償還時の買入価額(主に時価)になります。
買入償還時における、社債の帳簿価額と償還金額との差額は、社債償還損勘定又は社債償還益勘定で特別損益に計上します。
社債に償却原価法を適用している場合は、償還時点における償却原価を算定したうえで、償還損益を算定します。
また、買入償還時には、端数利息(直前の利払い日の翌日から買入償還時まで期間に相当する利息)支払う必要があります。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第10・11・12・13・59・60・61・62・63項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第44・45項
別名、繰上償還とも言います。
買入償還は、社債を発行した企業に、資金の余裕が有る場合などに実施されます。
具体的な取引としては、市場で流通している社債を、発行企業が時価で買い入れることで償還する方法が一般的です。
そのため、満期償還とは異なり、償還金額は社債の額面金額ではなく、買入償還時の買入価額(主に時価)になります。
買入償還時における、社債の帳簿価額と償還金額との差額は、社債償還損勘定又は社債償還益勘定で特別損益に計上します。
社債に償却原価法を適用している場合は、償還時点における償却原価を算定したうえで、償還損益を算定します。
また、買入償還時には、端数利息(直前の利払い日の翌日から買入償還時まで期間に相当する利息)支払う必要があります。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第10・11・12・13・59・60・61・62・63項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第44・45項
下記では、社債の買入償還の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。
| 前提条件 |
|---|
|
A社はX1年4月1日に、下記の条件で社債を発行した。
・社債額面総額10,000千円 ・発行価額9,728千円 ・満期日X4年3月31日 ・クーポン利子率4%である ・利払日毎年3月31日 ・利息は月割計算する ・X2年9月30日に額面総額10,000千円の社債を9,950千円 (裸相場)で買入償還した ・A社の決算日は3月31日である |
【原則：利息法での会計処理】
■実効利子率の算定
毎期のクーポン利子=額面10,000千円×4％=400千円
クーポン利子400千円÷(1+r)+クーポン利子400千円÷(1+r)^2+(クーポン利子400千円+額面総額10,000千円)÷(1+r)^3
=9,728千円
r=5%
毎期のクーポン利子=額面10,000千円×4％=400千円
クーポン利子400千円÷(1+r)+クーポン利子400千円÷(1+r)^2+(クーポン利子400千円+額面総額10,000千円)÷(1+r)^3
=9,728千円
r=5%
① X1年4月1日(発行時)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 社債 9,728千円※1 | 当座預金 9,728千円※1 |
※1社債発行価額
社債を発行価額で計上し、相手勘定で収受した当座預金を計上します。
② X2年3月31日(第一回利払日)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 社債利息 486千円※3 |
当座預金 400千円※2
社債 86千円※4 |
※2額面金額10,000千円×クーポン利子率4％=400千円
※3社債帳簿価額9,728千円×実効利子率5%
※4貸借差額
※3社債帳簿価額9,728千円×実効利子率5%
※4貸借差額
支払ったクーポン利息を当座預金からマイナスすると同時に、実効利子率で社債利息を計上します。両者の差額は、社債の帳簿価額に加算します。
③ X2年9月30日(買入償還時)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
|
社債利息 245千円※6
社債 9,859千円※9 社債償還損 91千円※10 |
当座預金 200千円※5
社債 45千円※7 当座預金 9,950千円※8 |
※5額面金額10,000千円×クーポン利子率4％÷12カ月×6カ月
※6社債帳簿価額9,814千円×実効利子率5%÷12カ月×6カ月
※7クーポン利子と実効利子の差額
※8償還金額
※9償還した社債の償還時償却原価
※10貸借差額
※6社債帳簿価額9,814千円×実効利子率5%÷12カ月×6カ月
※7クーポン利子と実効利子の差額
※8償還金額
※9償還した社債の償還時償却原価
※10貸借差額
前回利払い日から買入償還時までの償却原価法の償却額及びクーポン利息の計上処理を行います。その結果、計算された償還時点の償却原価を社債勘定からマイナスし、償還のために支払った対価との差額を、社債償還損に計上します。
【例外：定額法での会計処理】
① X1年4月1日(発行時)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 9,728千円※1 | 社債 9,728千円※1 |
※1社債発行価額
社債を発行価額で計上し、相手勘定で収受した当座預金を計上します。
② X2年3月31日(第一回利払日)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
|
社債利息 400千円※2
社債利息 91千円※3 |
当座預金 400千円※2
社債 91千円※3 |
※2額面金額10,000千円×クーポン利子率4％=400千円
※3(額面総額10,000千円-取得価額9,728千円)÷利息期間3年
※3(額面総額10,000千円-取得価額9,728千円)÷利息期間3年
支払ったクーポン利息を当座預金から減額し、社債利息として計上します。同時に、金利の調整部分についても、額面総額と取得価額の差額を利息期間で除した金額を社債利息に計上し、相手勘定で社債の帳簿残高に加算します。
③ X2年9月30日(買入償還時)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
|
社債利息 200千円※4
社債利息 45千円※5 社債 9,864千円※7 社債償還損 86千円※8 |
当座預金 200千円※4
社債 45千円※5 当座預金 9,950千円※6 |
※4額面金額10,000千円×クーポン利子率4％÷12カ月×6カ月
※5(額面総額10,000千円-取得価額9,728千円)÷利息期間3年
÷12カ月×6カ月
※6償還金額
※7償還した社債の償還時償却原価
※貸借差額
※5(額面総額10,000千円-取得価額9,728千円)÷利息期間3年
÷12カ月×6カ月
※6償還金額
※7償還した社債の償還時償却原価
※貸借差額
前回利払い日から買入償還時までの償却原価法の償却額及びクーポン利息の計上処理を行います。その結果、計算された償還時点の償却原価を社債勘定からマイナスし、償還のために支払った対価との差額を、社債償還損に計上します。
次のページでは、社債の定時分割償還(抽選償還)の会計処理について具体的にご紹介します。