棚卸資産管理における個別法

個別法とは、取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。

個別法では、一つ一つの実際原価に基づいて出庫及び在庫を記帳するため、帳簿の動きが実際の棚卸資産の動きに忠実であり、棚卸資産を販売する際にその収益と費用を完全に対応させることで期間損益の計算を正確に行い、期末在庫についても正確な取得原価で評価できるというメリットがあります。

その反面、個別の管理に手間がかかるというデメリットがあります。

具体的には、仕入価格を正確に把握するため請求書や納品書などもしっかりと管理し、個々の棚卸資産に正確に紐づけなければなりません。さらに、受入から払出までの在庫の移動についても、どの在庫が動いたかを個別に正確に把握しなければなりません。

そのため、この方法は、商品単価が高く、物流数の少く、個別性が強い棚卸資産の評価に適するとされています。例としては、宝石や貴金属、美術品、不動産、建築物などが挙げられます。
【個別法とは】
取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法

【個別法のメリット】
期間損益と期末在庫価額を正確に行うことができる

【個別法のデメリット】
個別の管理に手間がかかる

【個別法が適している棚卸資産】
単価が高く、物流数の少く、個別性が強い棚卸資産
例)宝石、貴金属、美術品、不動産、建築物
(棚卸資産の評価に関する会計基準第6-2項(1))
次のページでは、棚卸資産管理における先入先出法について具体的にご紹介します。