棚卸資産管理における
先入先出法

先入先出法とは、もっとも古く取得された棚卸資産から順次払い出しが行われ、期末資産は最も新しく取得されたものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法です。

期末の在庫として残された棚卸資産は、一般的に最も新しく取得したものが多いと考えられるので、先入先出法を採用することで、現実の商品の動きと帳簿上の在庫の動きをほぼ一致させることができます。

さらに、期末棚卸資産の帳簿価額は最新の購入価額が反映されるため、期末棚卸資産価値を時価に近い水準で表現することができるというメリットがあります。

その反面、仕入価額が異なるごとにその単価と数量を把握しなければならないため、運用方法によっては記帳が煩雑になってしまいます。

さらに、期末に大量に仕入れた商品の単価が大きく上昇又は下落した場合は、その下落又は上昇による損益は棚卸資産在庫に含まれ翌期に繰り越されるため、期間損益が正確に計算できないという点もデメリットとして挙げられます。

先入先出法は、取り扱っている棚卸資産が比較的短期間で腐食や経年劣化するようなものである業種でよく採用されています。具体的には、卸売業や販売業、特に食品を扱う事業などが挙げられます。
【先入先出法】
もっとも古く取得された棚卸資産から順次払い出しが行われ、期末資産は最も新しく取得されたものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法

【先入先出法のメリット】
●現実の商品の動きと帳簿上の在庫の動きを
 ほぼ一致する
●期末棚卸資産価値を時価に近い水準で表現
 することができる

【先入先出法のデメリット】
●運用方法によっては記帳が煩雑になる
●期末近くの価格の大きな変動は棚卸資産の
 帳簿価額に反映されない

【先入先出法が適している業種】
比較的短期間で腐食や経年劣化するような資産を取り扱う業種
例)卸売業、販売業、特に食品を扱う事業
(棚卸資産の評価に関する会計基準第6-2項(2))
次のページでは、棚卸資産管理における平均原価法(移動平均法)について具体的にご紹介します。