棚卸資産出庫額及び在庫価額
の算定方法
棚卸資産の払出原価及び期末在庫価額は、次の方法の中から、事業の種類、棚卸資産の種類、その性質及びその使用方法を考慮した区分ごとに選択した方法で算定します。
一度選択した方法は、その後継続して適用しなければなりません。
一度選択した方法は、その後継続して適用しなければなりません。
方法名称 | 算定方法/特徴 |
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個別法 |
【算定方法】 取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する 【メリット】 期間損益と期末在庫価額を正確に算定できる 【デメリット】 個別の管理に手間がかかる 【適するケース】 単価が高く、物流数の少く、個別性が強い棚卸資産 例)宝石、貴金属、美術品、 不動産、建築物 |
先入先出法 |
【算定方法】 最も古く取得されたものから順次払い出しが行われ、期末資産は最も新しく取得されたものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する 【メリット】 ●現実の商品の動きと帳簿上 の在庫の動きをほぼ一致 する ●期末棚卸資産価値を時価に 近い水準で表現すること ができる 【デメリット】 ●運用方法によっては記帳が 煩雑になる ●期末近くの価格の大きな 変動は棚卸資産の帳簿価額 に反映されない 【適するケース】 比較的短期間で腐食や経年劣化するような資産を取り扱う業種 例)卸売業、販売業、特に 食品を扱う事業 |
平均原価法(総平均法) |
【算定方法】 会計期間の平均仕入単価をもって期末在庫価額を算定する 【メリット】 平均単価を算定する回数が少なく、業務負荷が軽い 【デメリット】 期中にタイムリーに売上原価及び在庫価額を把握できない 【適するケース】 素早い経営判断が必要とされておらず、取り扱っている種類や入出庫回数が多く管理が煩雑な業種 |
平均原価法(移動平均法) |
【算定方法】 在庫に変化があるたびに、平均単価を再算定し、在庫の払出時点や期末決算日時点等それぞれの時点の平均単価をもって、払出価額や期末在庫価額を算定する 【メリット】 平均単価を常に把握できタイムリーな経営判断に役立つ 【デメリット】 平均単価を算定する回数が多いため業務負荷が重くなる 【適するケース】 素早い経営判断が必要で、取り扱っている種類や入出庫回数が少ない業種 |
売価還元法 |
【算定方法】 期末の売価合計に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産価額とする 【メリット】 ●詳細な単価管理や入庫の度 の計算が不要で運用が 簡単 ●棚卸資産をグループにまと めて評価できるので管理 工数が少ない 【デメリット】 棚卸資産のグループ分けが難しい 【適するケース】 取扱品種の極めて多い小売業等の業種 |
(棚卸資産の評価に関する会計基準第6-2・6-3・26-2項)
また、上記の方法の他に、最終仕入原価法という方法があります。
最終仕入原価法は、期末から最も近い時に取得した1単位当りの取得価額で期末棚卸資産価額を算定する方法です。
この方法によると、期末棚卸資産の一部が実際取得原価ではなく時価に近い価額で評価されてしまい、無条件に適用を認めるべきではないため、現行の会計基準では正式に認められていません。
ただし、法人税では正式な方法として認められているため、財務会計上も特定のケースの場合のみ適用が容認されています。
この「特定のケース」とは、期末棚卸資産の大部分が最終の仕入価額で取得されている場合や、期末棚卸資産の残高に重要性が乏しい場合を言います。
最終仕入原価法は、期末から最も近い時に取得した1単位当りの取得価額で期末棚卸資産価額を算定する方法です。
この方法によると、期末棚卸資産の一部が実際取得原価ではなく時価に近い価額で評価されてしまい、無条件に適用を認めるべきではないため、現行の会計基準では正式に認められていません。
ただし、法人税では正式な方法として認められているため、財務会計上も特定のケースの場合のみ適用が容認されています。
この「特定のケース」とは、期末棚卸資産の大部分が最終の仕入価額で取得されている場合や、期末棚卸資産の残高に重要性が乏しい場合を言います。
方法名称 | 算定方法/特徴 |
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最終仕入原価法 |
【算定方法】 期末から最も近い時に取得した1単位当りの取得価額で期末棚卸資産価額を算定する 【メリット】 個別の単価管理が必要なく、実務的に非常に簡単 【デメリット】 取得原価基準の要件を満たさず、利益操作の余地がある 【各規程等での取り扱い】 会計基準:正式な方法とは認 めず、特定のケー スで のみ容認 法人税法:法定評価方法とし て認めている 【財務会計上で適用できるケース】 ●期末棚卸資産の大部分が 最終の仕入価額で取得され ている場合 ●期末棚卸資産の残高に重要 性が乏しい場合 |
(棚卸資産の評価に関する会計基準第34-4項)
さらに、従来の会計基準では適用が認められていたものの、現行基準では廃止されたものとして後入先出法があります。
後入先出法については、国際会計基準とのコンバージョンの過程で、現行の会計基準から削除されてしまいましたので、現在は適用することができないことに留意が必要です。
後入先出法については、国際会計基準とのコンバージョンの過程で、現行の会計基準から削除されてしまいましたので、現在は適用することができないことに留意が必要です。
方法名称 | 算定方法/特徴 |
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後入先出法 |
【算定方法】 最も新しく取得されたものから順次払い出しが行われ、期末資産は最も古く取得されたものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する 【メリット】 時価に近い価格水準で収益と費用を対応させることができる 【デメリット】 ●棚卸資産の帳簿価額と時価 が乖離する ●期末棚卸資産の数量を調整 することで期間損益を 意図的に操作することがで きる 【適するケース】 現在は適用不可 |
(棚卸資産の評価に関する会計基準第26-3・26-4・34-5・34-6・34-7・34-8・34-9・34-10・34-11・34-12項)
次のページでは、棚卸資産管理における個別法について具体的にご紹介します。