棚卸資産管理における
最終仕入原価法

最終仕入原価法とは、棚卸資産を期末から最も近い時に取得した1単位当たりの取得単価で期末棚卸資産価額を算定する方法です。

最終仕入原価法は、最終の仕入単価で期末棚卸資産評価するため、期中の入出庫における個別の単価管理が必要なく、実務的に非常に簡単であるというメリットがあります。

その反面、この方法によると、期末棚卸資産の一部が実際取得原価ではなく時価に近い価額で評価されてしまい、取得原価基準の要件を満たしません。

さらに、期末の最終仕入単価を非常に高額もしくは低額な価格で行うことにより、利益操作できる余地があります。

そのため最終仕入原価法は、現行の会計基準では正式に認められていません。

ただし、法人税法上では法定評価方法として認められているため、財務会計上も、期末棚卸資産の大部分が最終の仕入価額で取得されている場合や、期末棚卸資産の残高に重要性が乏しい場合など、特定のケースの場合のみ適用が容認されています。
【最終仕入原価法】
棚卸資産を期末から最も近い時に取得した1単位当たりの取得単価で期末棚卸資産価額を算定する方法

【最終仕入原価法のメリット】
個別の単価管理が必要なく、実務的に非常に簡単

【最終仕入原価法のデメリット】
取得原価基準の要件を満たさず、利益操作の余地がある

【現行の法令等での取り扱い】
会計基準:正式な方法とは認めず、特定のケースでのみ容認
法人税法:法定評価方法として認めている

【最終仕入原価法を適用できるケース】
●期末棚卸資産の大部分が最終の仕入価額で
 取得されている場合
●期末棚卸資産の残高に重要性が乏しい場合
(棚卸資産の評価に関する会計基準第34-4項)
次のページでは、棚卸資産管理における後入先出法について具体的にご紹介します。