賃貸事業用不動産又は自社使用目的の不動産から販売用不動産への変更の会計処理

Question
当社は不動産販売業を営んでおります。この度、本社の移動が決定し、これまで本社として使用していた自社ビルを使用しなくなったため、不動産販売事業の商品として販売することが決定しました。このような場合、どのように会計処理すればよいでしょうか?
【Answer】
不動産販売業を営む企業が、賃貸事業目的又は自社使用目的の不動産を販売用不動産に変更する場合、当該不動産の勘定科目を有形固定資産から棚卸資産に振替えます。

この場合、保有目的の変更自体が減損の兆候に該当する可能性があるため、『固定資産減損に係る会計基準』に従い、減損の認識及び測定の手続きを行わなければなりません。

棚卸資産の勘定科目には、その判定結果に応じて減損を認識した後の帳簿価額で、振替を行います。

また、保有目的を変更は、合理的な理由に基づいたものでなければなりません。

合理的な理由の具体例としては、賃貸として賃料を得るより販売する方が収益を見込める、自社での使用需要がなくなった等があります。

保有目的の変更に関する合理的な理由に関しては、変更時点において、具体的かつ確実な事業計画を作成し、取締役会で承認を得るなどの手続きを経るなど、客観的な証憑を残しておくことが有効であるとされています。

また、このような保有目的の変更が、会社の財務諸表に重要な影響を与える場合は、追加情報としてその旨、及びその金額を貸借対照表に注記しなければなりません。
【販売用不動産から賃貸事業用不動産又は自社使用目的の不動産への変更の会計処理】
①勘定科目
有形固定資産⇒棚卸資産へ振り替え

②振替額
『固定資産減損に係る会計基準』に従い減損の認識・測定をした後の帳簿価額

③注記
会社の財務諸表に重要な影響を与える場合BSに要注記
(販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い第7項)
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