通常の販売目的で保有する棚卸資産に関して正味売却価額がマイナスの場合の期末評価

Question
通常の販売目的で保有する棚卸資産について、期末の正味売却価額を試算したところ、追加の製造コストと販売コストを売価から控除すると、マイナスになってしまう結果になりました。このような場合、どのように期末棚卸資産を評価すればいいでしょうか?また、マイナスになってしまった金額については、どのように会計処理すべきでしょうか?
【Answer】
見積追加製造原価と見積販売直接経費が売価を超えることで、正味売却価額がマイナスになってしまう場合、その棚卸資産に関して将来回収できる投資額はゼロになるため、帳簿価額はゼロ迄切り下げます。

しかしながら、帳簿価額をゼロに引き下げたとしても、正味売却価額のマイナス分まではカバーできないため、このような場合は引当金の計上を検討しなければなりません。

具体的には、将来販売時点で発生する正味内客価額のマイナスの発生が、当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合は、引当金を繰入、当期にその損失と負債を認識します。
【正味売却価額がマイナスの場合の会計処理】

①棚卸資産の帳簿価額:ゼロまで切り下げる

②正味売却価額のマイナス部分
:引当金計上の要件を満たす場合は引当金
 を計上する

 ≪引当金計上要件≫
 ●将来の費用又は損失である
 ●その発生が当期以前の事象に起因して
  いる
 ●発生の可能性が高い
 ●その金額を合理的に見積もることがで
  きる
(棚卸資産の評価に関する会計基準第44項
企業会計原則注解18)
次のページでは、棚卸資産の購入に要した資金利子の取り扱いについて具体的にご紹介します。