新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の原則及び手続を採用する場合の追加情報

企業が採用していた会計方針から、正当な理由に伴い会計基準で認められている他の会計処理へと変更する場合、『会計方針の変更』として注記しなければなりません。

それに対して、会計処理の対象となる新たな事実の発生に伴い、新たな会計処理の原則及び手続を採用する場合は、この『会計方針の変更』には該当せず、注記は必要とされていません。

ただし、この新たな会計処理の原則及び手続の採用について、追加的に開示する必要があると認められる場合には、『追加情報』としてその事実を注記しなければなりません。

この追加情報は、原則として『会計方針の記載』に合わせて注記します。

例外的に貸借対照表、損益計算書又はキャッシュ・フロー計算書等に係る注記に記載することもできますが、その場合は、該当の『会計方針の記載』との関連を明らかにして、利害関係者の判断を誤らせないように配慮することが必要です。
【新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の原則及び手続を採用する場合の追加情報】

新たな事実の発生に伴い、新たな会計処理の原則及び手続を採用するケースで、その事実について追加的に開示する必要があると認められる場合、追加情報の注記が必要となる。

≪追加情報の記載ヵ所≫
原則⇒『会計方針の記載』に合わせて注記
例外⇒BS・PL・CF等に係る注記に記載(該当
   の会計方針の記載との関連を要明記)
(追加情報の注記について第7項)
下記では、新たな事実の発生に伴い、新たな会計処理の原則及び手続を採用する場合の追加情報の注記について、具体例を使用してご紹介します。(参考:追加情報の注記について第7項)
前提条件
A社は製造業を営む企業であるが、新たに物流事業を開始し期中に物流センターを新設した。

・製造業における有形固定資産の減価償却方法は定額法を
 採用していた
・X1年4月1日に物流センターが完成し、使用を開始した
・物流センターの減価償却方法としては定率法を採用した
・定率法を採用よる影響額に重要性があるため、追加情報と
 して注記が必要であると判定された
・当該追加情報は会計方針の記載に合わせて注記する
【追加情報の注記例】
新規事業として計画しておりました物流事業に供する建物が完成し、X1年4月1日より営業を開始いたしました。当社は従来建物の減価償却は定額法によっておりましたが、物流事業に係る建物については定率法を採用することとしました。
次のページでは、遊休又は一時休止の資産がある場合の追加情報について具体的にご紹介します。