役員賞与の会計処理の変遷

従来においては、役員報酬は発生時に費用処理するのに対して、役員賞与については利益処分により未処分利益の減少とする会計処理が一般的でした。

しかしながら、役員賞与は役員報酬と同様に役員の職務に対する支給であり両者は同質のものであること、また、連結財務諸表において親子会社間の整合が取れないことなどの理由により、この会計処理は見直されることとなりました。

この見直しの流れの中で、平成16年3月9日に「実務対応報告13号役員賞与の会計処理に関する当面の取り扱い」が公表され、役員賞与の会計処理に関する経過的な定めがなされました。

実務対応報告13号では、役員賞与は利益処分ではなく、発生した会計年度の費用として会計処理することが適切である旨が明記されました。

ただし、この時点では、当面の間これまでの慣行に従い、未処分利益の減少として会計処理することも認められてしました。

その後、改めて審議が行われ平成17年11月29日に「企業会計基準第4号役員賞与に関する会計基準」が公表されました。

当該会計基準の中で、役員賞与は役員報酬とともに職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益であり、発生した会計年度の費用として処理することとされました。

これに伴い、「実務対応報告13号役員賞与の会計処理に関する当面の取り扱い」は廃止されました。
【役員賞与の会計処理変遷の流れ】

従来は役員賞与は利益の処分として会計処理されていた

⇒平成16年3月9日に「実務対応報告13号役員賞与の会計処理に関する当面の取り扱い」が公表され、役員賞与は利益処分ではなく、発生した会計年度の費用として会計処理することが適切である旨が明記された
(ただし、当面の間未処分利益の減少として会計処理することも可)

⇒平成17年11月29日に「企業会計基準第4号役員賞与に関する会計基準」が公表され役員賞与を発生した会計年度の費用として会計処理する旨が定められた
(役員賞与に関する会計基準第7・8・9・10・11項)
次のページでは、当事業年度の職務に係る役員賞与を期末後に開催する株主総会の決議事項とする場合の会計処理について具体的にご紹介します。