未渡小切手がある場合の会計処理会計処理

【未渡小切手とは】
振出済みだが引渡未了で手元にある小切手

【未渡小切手の会計処理】
当座預金残高に振り戻す(支払の仕訳を取り消す)

≪仕訳イメージ≫
(当座預金)XXX (買掛金)XXX
未渡小切手とは、企業が小切手を振り出し、帳簿上では支払済みの処理をしたものの、相手側に引き渡していない小切手をいいます。

実務では、支払日の小切手の発行枚数が著しく多くなるために、小切手を予め作成して、その時点で支払の仕訳(当座預金をマイナスする)を計上する方法が多く採用されています。

しかしながら、予め小切手を作成したものの、相手方が集金に来なかった等の理由により、決算日に手元に作成済みの小切手が未渡しの状態で残ってしまうことがあります。

このような未渡小切手ついては、実際には支払は行われていないため、決算時に当座預金勘定に残高を戻す処理が必要となります。
【参考文献】
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第十五条の一
財務諸表等規則ガイドライン15-1-2
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金33未渡し小切手がある』株式会社清文社
下記では、未渡小切手がある場合の会計処理会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金33未渡し小切手がある』株式会社清文社
前提条件
A社のX01年3月31日決算日の当座預金勘定残高は2,000千円であったが、銀行から取り寄せた銀行残高証明書の当座預金残高は10,000千円であった。両者の差異を調査したところ、下記の事項が判明した。

・広告費を支払うために作成した500千円の小切手が未渡し
 であった
・取引先Bへの買掛金を支払うために作成した7,500千円の
 小切手が未渡しであった
・A社の決算日は3月31日
【A社の会計処理】
① X1年3月31日(未渡小切手調整仕訳)
借方 貸方
当座預金 500千円※1
当座預金 7,500千円※2
未払金 500千円※1
買掛金 7,500千円※2
※1広告費の未渡小切手金額
※2B社への買掛金の未渡小切手金額
未渡小切手として手元に残っている小切手について、小切手振出時に計上した支払の仕訳の逆仕訳を計上して、当座預金残高を加算します。

この場合の銀行勘定調整表は、『銀行残高・企業残高区分調整法』『銀行残高基準法』『企業残高基準法』それぞれで、下記のようになります。
【銀行残高・企業残高区分調整法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高 銀行残高証明書残高
X01年3月31日現在 2,000 10,000
加算:未渡小切手
    広告費支払分  500
    B社支払分  7,500
       計 10,000 10,000
減算:     
修正残高 10,000 10,000





【銀行残高基準法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
銀行残高証明書残高 10,000
加算:     
減算:未渡小切手
    広告費支払分  500
    B社支払分  7,500 8,000
当座預金勘定残高  2,000





【企業残高基準法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高  2,000
加算:未渡小切手
    広告費支払分  500
    B社支払分  7,500
       計 8,000
減算:     
銀行残高証明書残高 10,000





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