未取付小切手の会計処理

【未取付小切手とは】

振出&引渡済みだが、相手方から銀行に呈示されていない小切手。
帳簿上の当座預金勘定残高はマイナス済みだが、銀行の当座預金口座残高として残っている


【未取付小切手の会計処理】

仕訳不要

※銀行勘定調整表で銀行残高証明書残高を
 マイナス調整
未取付小切手とは、企業が小切手を振り出して相手方に渡しているものの、相手方が銀行に呈示していないために、口座から引き落とされてない小切手をいいます。

未取付小切手の場合、企業は既に小切手を振り出しているため、当座預金勘定残高からはマイナスされていますが、銀行の当座預金口座からは引き落とされていないため、両者に差異が生じます。

この場合、企業は小切手を既に相手方に渡し済みで支払は完了しており、さらに、通常は時間の経過により解消されるため、当座預金勘定残高は調整せずに、銀行勘定調整の中で、銀行残高証明書残高を調整します。

そのため、会計帳簿上で、調整仕訳を計上する必要はありません。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金32当座預金出納帳と銀行の残高照会表が不一致』
株式会社清文社
下記では、未取付小切手の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金32当座預金出納帳と銀行の残高照会表が不一致』
株式会社清文社
前提条件
A社のX01年3月31日決算日の当座預金勘定残高は2,000千円であったが、銀行から取り寄せた銀行残高証明書の当座預金残高は10,000千円であった。両者の差異を調査したところ、下記の事項が判明した。

・取引先Bへの買掛金支払のために振出して引き渡した
 8,000千円の小切手が未取付けであった
・A社の決算日は3月31日
【A社の会計処理】
① X1年3月31日(未取付小切手調整仕訳)
既に小切手を引渡済みのため、調整仕訳は不要。

この場合の銀行勘定調整表は、『銀行残高・企業残高区分調整法』『銀行残高基準法』『企業残高基準法』それぞれで、下記のようになります。
【銀行残高・企業残高区分調整法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高 銀行残高証明書残高
X01年3月31日現在 2,000 10,000
加算:      
減算:未取付小切手 8,000
修正残高 2,000 2,000





【銀行残高基準法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
銀行残高証明書残高 10,000
加算:      
減算:未取付小切手 8,000 8,000
当座預金勘定残高  2,000





【企業残高基準法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高  2,000
加算:未取付小切手 8,000 8,000
減算:      
銀行残高証明書残高 10,000





次のページでは、未取立小切手がある場合の会計処理について具体的にご紹介します。