更生等による追徴及び還付された事業税の会計処理
更生等とは、「更正」と「修正申告」を総称したものを言い、どちらも一度申告した税額に対する修正を行うものです。
事業税で出てくる「更正」とは、事業税について、提出した納税申告書に記載された課税標準又は税額の計算が法令に従っていなかった場合や、税務署長が調査したところその計算や金額が申告書と異なる場合に、当該納税申告書に係る課税標準又は税額を変更することを言います。(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第4項(8))
また同様に「修正申告」とは、事業税について、提出した納税申告書に記載した税額に不足額がある場合や、純損失の金額が過大である場合に、それを修正する納税申告書を税務署等に提出することにより、税額を変更することを言います。(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第4項(9))
過年度の事業税について、更正等により追加で徴収される可能性が高く、その追加税額を合理的に見積ることができる場合は、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に定める誤謬に該当するケースを除き、原則としてその追加税額を損失に計上します。
この時、追徴にともなう延滞税、加算税、延滞金及び加算金についても、当該追徴額とともに損失計上します。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第6・32項
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(9))
この時、追徴にともなう延滞税、加算税、延滞金及び加算金についても、当該追徴額とともに損失計上します。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第6・32項
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(9))
反対に、過年度の事業税について更正等により還付が見込まれている場合は、還付されることが確実で、その還付税額を合理的に見積ることができる場合のみ、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に定める誤謬に該当するケースを除き、その還付税額を収益として計上します。
(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第7・31・32項
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(5))
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(5))
事業税の追徴税額及び還付税額の内、所得割部分は、事業年度の事業税の所得割を表示した科目(『法人税、住民税及び事業税』など)の次に、その内容を示す科目(『過年度法人税等』など)で表示します。
ただし、金額の重要性が乏しい場合は、事業年度の事業税の所得割を表示した科目に含めて表示することができます。
それに対して、事業税の追徴税額及び還付税額の内、付加価値割及び資本割部分は、原則として販売費及び一般管理費として表示します。ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することができます。(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
第9・10・15・16・29・30項
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(17))
ただし、金額の重要性が乏しい場合は、事業年度の事業税の所得割を表示した科目に含めて表示することができます。
それに対して、事業税の追徴税額及び還付税額の内、付加価値割及び資本割部分は、原則として販売費及び一般管理費として表示します。ただし、合理的な配分方法に基づきその一部を売上原価として表示することができます。(法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
第9・10・15・16・29・30項
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」に対するコメント(17))
事業税の追徴税額の内、納付されていない税額は、事業年度の所得等に対する事業税の未納付額を計上した科目(『未払法人税等』など)に含めて表示します。
当該科目はBSの中で、流動負債に分類されます。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第11・17項)
当該科目はBSの中で、流動負債に分類されます。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第11・17項)
それに対して、事業税の還付税額の内、受領されていない税額は、事業年度の所得等に対する事業税の未納受領額を計上した科目(『未収還付法人税等』など)に含めて表示します。
当該科目はBSの中で、流動資産に分類されます。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第12・18項)
当該科目はBSの中で、流動資産に分類されます。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準第12・18項)
項目 | 会計処理 |
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更正等による追徴税額 |
下記の条件を満たした時点で追徴税額を認識 【認識条件】 ①追徴される可能性が高い ②追加税額を合理的に見積る ことができる 【PLの会計処理(所得割)】 原則:『法人税、住民税及 び事業税』などの次に 『過年度法人税等』な どで損益計上 例外:金額が小さい場合は 『法人税、住民税及び 事業 税』などに含め てOK! 【PLの会計処理(付加価値割・資本割)】 原則:販売費及び一般管理費 例外:合理的な方法で一部を売上原価に計上可能 【未払の際のBSの会計処理】 『未払法人税等』などで流動負債に計上 |
更正等にともなう延滞税、加算税、延滞金及び加算金 |
下記の条件を満たした時点で加算税額を認識 【認識条件】 ①加算される可能性が高い ②加算税額を合理的に見積る ことができる 【PLの会計処理(所得割)】 原則:『法人税、住民税及 び事業税』などの次に 『過年度法人税等』な どで損益計上 例外:金額が小さい場合は 『法人税、住民税及び 事業 税』などに含め てOK! 【PLの会計処理(付加価値割・資本割)】 原則:販売費及び一般管理費 例外:合理的な方法で一部を売上原価に計上可能 【未払の際のBSの会計処理】 『未払法人税等』などで流動負債に計上 |
更正等による還付税額 |
下記の条件を満たした時点で還付税額を認識 【認識条件】 ①還付されることが確実 ②還付税額を合理的に見積る ことができる 【PLの会計処理(所得割)】 原則:『法人税、住民税及 び事業税』などの次に 『過年度法人税等』な どで損益計上 例外:金額が小さい場合は 『法人税、住民税及び 事業 税』などに含め てOK! 【PLの会計処理(付加価値割・資本割)】 原則:販売費及び一般管理費 例外:合理的な方法で一部を売上原価に計上可能 【未収の際のBSの会計処理】 『未収還付法人税等』などで流動資産に計上 |
次のページでは、追徴税額について課税を不服として法的手段を取る場合の事業税の会計処理について具体的にご紹介します。