新規預け入れで取得した譲渡性預金を満期日前に譲渡した場合の会計処理

【新規預け入れで取得した譲渡性預金を満期日前に譲渡した場合の会計処理】

譲渡性預金を計上していた有価証券の簿価をマイナスし、相手勘定で譲渡対価として受け取った資産勘定を計上。

※有価証券を計上している勘定科目は、
 保有目的及び償還までの期間により異なる

譲渡益及び未収利息についてはどちらも有価証券の利息勘定に計上。

※使用する有価証券の利息勘定は譲渡性預金
 の保有目的により異なる

≪仕訳イメージ≫
(普通預金)XXX (有価証券)XXX
       (有価証券利息)XXX
譲渡性預金は、発行した金融機関に通知することにより、第三者に自由に譲渡することができます。

譲渡性預金を譲渡した場合は、その譲渡性預金の帳簿価額を、譲渡性預金を計上していた有価証券の科目からマイナスし、相手勘定で譲渡対価を資産計上します。

譲渡性預金を計上している有価証券の科目は、譲渡性預金証券の保有目的及び償還までの期間により異なります。

例えば、1年以内に満期の到来する譲渡性預金の預金証券は『有価証券』勘定に計上されていますが、償還まで1年を超える満期保有目的のものは『投資有価証券』や『満期保有目的債権』勘定に計上されています。

譲渡性預金の譲渡益には、保有期間に対する約定利息の未収分と、純粋な譲渡益が含まれていますが、どちらも有価証券の利息として収益計上します。

約定利息を受け取る際には通常、所得税及び復興特別所得税が控除されますが、所得税及び復興特別所得税は約定利息受取時の保有者から徴収されるため、経過利息に対する源泉所得税等の計上は必要ありません。
【参考文献】
会計制度委員会報告第14号金融商品に関する実務指針第8項・第58項
金融商品会計に関するQ&A-Q67
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金45譲渡性預金(CD)を満期日前に譲渡した』
株式会社清文社
下記では、新規預け入れで取得した譲渡性預金を満期日前に譲渡した場合の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金45譲渡性預金(CD)を満期日前に譲渡した』
株式会社清文社
前提条件
・A社はX1年4月1日に、下記の条件で譲渡性預金の預金証券
 を取得している。
・譲渡性預金額面金額は50,000千円で、普通預金より
 入金した
・満期日はX2年3月31日、預入期間は12カ月である
・約定利率は3%
・約定利率の利払い日は3月末及び6月末の6カ月毎である
・X1年12月31日に、50,000千円全額を51,000千円で
 譲渡し、譲渡対価が全額普通預金に振り込まれた
・A社の決算日は3月31日
① X1年12月31日(譲渡日)
借方 貸方
普通預金 51,000千円※1 有価証券 50,000千円※2
有価証券利息 1,000千円※3
※1譲渡対価
※2譲渡した譲渡性預金の帳簿価額
※3貸借差額
譲渡性預金の帳簿価額を有価証券勘定からマイナスし、相手勘定で入金された普通預金を計上します。

両者の差額は有価証券利息に計上します。
次のページでは、譲渡性預金を満期保有目的の債権として会計処理するための条件について具体的にご紹介します。