上場株式に対する受取配当金の会計処理
【上場株式の受取配当金の会計処理】
■原則
①配当落ち日(権利付き最終確定日の翌日)
配当予測額で未収配当金を見積計上
(源泉徴収税等についても計上)
≪配当予測額具体例≫
・前回の配当実績
・公表されている1株当たり予測
配当額
②差異判明時(株主総会決議等)
見積計上額と実績の差額を修正
③配当金受領時
未収配当金と受領した現金を相殺
※配当金受領証で受領した場合も、
現金勘定に計上
■例外1(要継続適用)
①配当落ち日(権利付き最終確定日の翌日)
会計処理なし
②配当金効力発生時
(株主総会決議効力発生日等)
決定額で未収配当金を計上
(源泉徴収税等についても計上)
※剰余金の配当については株主総会
決議日、中間配当については取締役会
決議日
③配当金受領時
未収配当金と受領した現金を相殺
※配当金受領証で受領した場合も、
現金勘定に計上
■例外2
(要継続適用・配当決定から支払迄が通常要
する期間内である場合のみ適用可)
①配当落ち日
(権利付き最終確定日の翌日)
会計処理なし
②配当金効力発生時
(株主総会決議効力発生日等)
会計処理なし
③配当金受領時
受取配当金及び、受領した現金・源泉
徴収税等を計上
※配当金受領証で受領した場合も、現金
勘定に計上
■原則
①配当落ち日(権利付き最終確定日の翌日)
配当予測額で未収配当金を見積計上
(源泉徴収税等についても計上)
≪配当予測額具体例≫
・前回の配当実績
・公表されている1株当たり予測
配当額
②差異判明時(株主総会決議等)
見積計上額と実績の差額を修正
③配当金受領時
未収配当金と受領した現金を相殺
※配当金受領証で受領した場合も、
現金勘定に計上
■例外1(要継続適用)
①配当落ち日(権利付き最終確定日の翌日)
会計処理なし
②配当金効力発生時
(株主総会決議効力発生日等)
決定額で未収配当金を計上
(源泉徴収税等についても計上)
※剰余金の配当については株主総会
決議日、中間配当については取締役会
決議日
③配当金受領時
未収配当金と受領した現金を相殺
※配当金受領証で受領した場合も、
現金勘定に計上
■例外2
(要継続適用・配当決定から支払迄が通常要
する期間内である場合のみ適用可)
①配当落ち日
(権利付き最終確定日の翌日)
会計処理なし
②配当金効力発生時
(株主総会決議効力発生日等)
会計処理なし
③配当金受領時
受取配当金及び、受領した現金・源泉
徴収税等を計上
※配当金受領証で受領した場合も、現金
勘定に計上
上場企業の配当金は、配当権利付き最終売買日に株式を保有している株主に支払われます。
そのため、受取配当金は原則として、配当権利付き最終売買日の翌日(配当権利落ち日)に、その見積額で『受取配当金』として収益認識し、相手勘定で『未収配当金』を資産計上します。
配当金の見積額を算定する際には、前回の配当実績又は、公表されている一株当たり予想配当額等を参考にします。
上場企業の配当金は、株主総会決議で決定します。
未収計上している配当金について、その金額決定の決議等により配当金の金額が判明し、予測していた見積額と差異がある場合は、差額を修正します。
そして、実際に配当金を受領した際には、受領した現金と未収配当金を相殺します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第94項(1)
そのため、受取配当金は原則として、配当権利付き最終売買日の翌日(配当権利落ち日)に、その見積額で『受取配当金』として収益認識し、相手勘定で『未収配当金』を資産計上します。
配当金の見積額を算定する際には、前回の配当実績又は、公表されている一株当たり予想配当額等を参考にします。
上場企業の配当金は、株主総会決議で決定します。
未収計上している配当金について、その金額決定の決議等により配当金の金額が判明し、予測していた見積額と差異がある場合は、差額を修正します。
そして、実際に配当金を受領した際には、受領した現金と未収配当金を相殺します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第94項(1)
上場企業の配当金は、継続適用を条件に例外として、『市場価額のない株式』の配当金の会計処理を適用することができます。
さらに、この市場価額のない株式の配当金の会計処理には、2種類の方法があります。
1つ目は、『市場価額のない株式』での原則法で、配当金の効力発生時に受取配当金を収益認識する方法です。
この方法においては、配当金の権利確定日には、仕訳処理は行わず、効力発生日に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。
効力発生時とは、具体的には、剰余金の配当については株主総会の決議日を、中間配当については取締役会の決議日を指します。
2つ目は、『市場価額のない株式』での例外法で、配当金受領時に受取配当金を収益認識する方法です。
この方法では、配当金の権利確定日・効力発生日には、仕訳処理は行わず、受取時に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。
この例外法については、配当の効力発生から支払までが通常要する期間内である場合のみ、継続適用を条件として認められています。 【根拠資料】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金⒗株式についての配当金支払通知書を受け取った』株式会社清文社
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第94項(2)
さらに、この市場価額のない株式の配当金の会計処理には、2種類の方法があります。
1つ目は、『市場価額のない株式』での原則法で、配当金の効力発生時に受取配当金を収益認識する方法です。
この方法においては、配当金の権利確定日には、仕訳処理は行わず、効力発生日に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。
効力発生時とは、具体的には、剰余金の配当については株主総会の決議日を、中間配当については取締役会の決議日を指します。
2つ目は、『市場価額のない株式』での例外法で、配当金受領時に受取配当金を収益認識する方法です。
この方法では、配当金の権利確定日・効力発生日には、仕訳処理は行わず、受取時に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。
この例外法については、配当の効力発生から支払までが通常要する期間内である場合のみ、継続適用を条件として認められています。 【根拠資料】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金⒗株式についての配当金支払通知書を受け取った』株式会社清文社
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第94項(2)
下記では、上場株式に対する受取配当金の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件 |
---|
A社は上場企業であるB社の株式を100,000株保有している。
・B株式の配当権利落ち日はX1年3月29日である ・B社のX1年3月期の一株当たり配当予測額は10円と予測 されている ・X1年5月31日にB社株主総会で一株当たり配当金を15円と する決議がなされ、同時にその効力が発生 した ・X1年8月31日に配当金を受領し、源泉徴収税等305千円を 控除した、1,195千円が入金された ・B社株式は将来の値上がりにより利益を得る目的で取得 している ・A社の決算日は3月31日 |
【原則法での会計処理】
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
借方 | 貸方 |
---|---|
受取配当金 1,000千円※1 |
未収配当金 797千円※3
法人税、住民税及び事業税 203千円※2 |
※1一株当り配当金予測額10円×持ち株数100,000株
※2配当金予測額1,000千円×源泉徴収税率20.315%
※3貸借差額
※2配当金予測額1,000千円×源泉徴収税率20.315%
※3貸借差額
配当権利落ち日に、受取配当金を収益認識します。同時に、受取配当金から控除される源泉徴収税額を費用認識し、入金予定額を未収配当金として計上します。
② X1年5月31日(差異判明時)
借方 | 貸方 |
---|---|
受取配当金 500千円※4 |
未収配当金 398千円※6
法人税、住民税及び事業税 102千円※5 |
※4一株当り配当金予定額15円×持ち株数100,000株
-見積計上額1,000千円
※5配当金予定額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
-見積計上額203千円
※6貸借差額
-見積計上額1,000千円
※5配当金予定額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
-見積計上額203千円
※6貸借差額
配当金の見積額と、株主総会決議で決定された配当金額との差額について、修正仕訳を計上します。
③ X1年8月31日(配当金受領時)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 1,195千円※7 | 未収配当金 1,195千円※7 |
※7配当金受領時の入金額
配当金の受領による入金額を、未収配当金と相殺します。
【例外法1(効力発生時に収益認識する方法)での会計処理】
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
仕訳なし
配当権利落ち日には、会計処理を行いません。
② X1年5月31日(効力発生時)
借方 | 貸方 |
---|---|
受取配当金 1,500千円※1 |
未収配当金 1,195千円※3
法人税、住民税及び事業税 305千円※2 |
※1一株当り配当金予測額15円×持ち株数100,000株
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3貸借差額
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3貸借差額
受取配当金を収益認識します。同時に、受取配当金から控除される源泉徴収税額を費用認識し、入金予定額を未収配当金として計上します。
③ X1年8月31日(配当金受領時)
借方 | 貸方 |
---|---|
現金預金 1,195千円※4 | 未収配当金 1,195千円※4 |
※4配当金受領時の入金額
配当金の受領による入金額を、未収配当金と相殺します。
【例外法2(受領時に収益認識する方法)での会計処理】
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
① X1年3月29日(配当権利落ち日)
仕訳なし
配当権利落ち日には、会計処理を行いません。
② X1年5月31日(効力発生時)
仕訳なし
は頭金効力発生日にも、会計処理は行いません。
③ X1年8月31日(配当金受領時)
借方 | 貸方 |
---|---|
受取配当金 1,500千円※1 |
現金預金 1,195千円※3
法人税、住民税及び事業税 305千円※2 |
※1一株当り配当金予測額15円×持ち株数100,000株
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3入金額
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3入金額
受取配当金を全額収益認識すると同時に、現金収受額を現金預金で資産計上し、源泉徴収された税額を法人税、住民税及び事業税で費用計上します。
次のページでは、上場株式の受取配当金から徴収される源泉徴収税等の会計処理をご紹介します。