貸倒引当金の引当対象である手形債権を裏書譲渡・割引した場合の会計処理

【貸倒引当金の引当対象である手形債権を裏書譲渡・割引した場合の会計処理】

手形債権の消滅を認識するため、既に設定している貸倒引当金は取り崩す

(将来の貸倒による損失見込については、保証債務として費用・負債認識)

≪仕訳例:裏書譲渡時≫
 (諸勘定)XXX    (受取手形)XXX
 (保証債務費用)XXX (保証債務)XXX
 (貸倒引当金)XXX  (貸倒引当金戻入)XXX

≪仕訳例:割引時≫
 (諸勘定)XXX    (受取手形)XXX
 (手形売却損)XXX
 (保証債務費用)XXX (保証債務)XXX
 (貸倒引当金)XXX  (貸倒引当金戻入)XXX
手形債権を裏書譲渡、又は、割引した際には、その手形の消滅を認識するため、その手形に対して引当ていた貸倒引当金についても、戻し入れ処理を行います。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第8・9・56・57・58・62項・(注4)
手形を裏書譲渡、又は、割引した際には、その手形が将来、支払人から決済されなかった場合に、支払人に代わって支払いを行わなければならないという遡及義務を負うため、依然、その貸倒による損失発生リスクを負っている状況であります。

そのため、手形を裏書譲渡・割引したときは、この遡及義務に対する偶発債務を、その時の時価評価額で負債及び費用として計上します。

具体的には、遡及義務の時価評価額を『保証債務』等の勘定科目で負債認識すると同時に、相手勘定で『保証債務費用』等の勘定科目で保証費用を計上します。

このように、手形を裏書譲渡・割引した場合の将来の貸倒損失発生リスクに対しては、貸倒引当金の代わりに、保証債務で対応します。
貸倒引当金の引当対象である手形を裏書譲渡・割引した場合の、さらに具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
受取手形を裏書譲渡する場合の会計処理
受取手形を割引した場合の会計処理
営業外受取手形を裏書譲渡する場合の会計処理
営業外受取手形を割引した場合の会計処理
次のページでは、貸倒損失の損益計算書上の表示について具体的にご紹介します。