外貨建普通預金の利子を受取った場合の会計処理

【外貨建普通預金の利子を受取った場合の会計処理】
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原則

利息支払開始日の直物為替相場(T.T.B(電信買相場))で円換算した金額を『受取利息』勘定等へ計上。

相手勘定で、控除された所得税及び復興特別所得税を『仮払法人税』に計上、入金額を入金された資産勘定へ計上。

≪仕訳イメージ≫
(外貨建普通預金)XXX 
     (受取利息)XXX
(仮払法人税)XXX

外国通貨による記録

”外国通貨による記録”の規定に従って会計処理
外貨建普通預金の利息は、利息支払開始日の直物為替相場で換算して受取利息に計上します。

換算の際の直物為替相場としては、T.T.B(電信買相場)を使用します。

利息受け取り時には、所得税及び復興特別所得税の合計15.315%が差し引かれた金額が入金されます。

差し引かれた所得税及び復興特別所得税は、受取利息計上時に仮払法人税に計上します。

仮払法人税として計上した金額は、期末において法人税額から控除されます。 【参考文献】
外貨建取引等会計処理基準一1
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金37外貨預金の払戻しを受けた』
株式会社清文社
【3種類の為替相場】
為替相場の種類 内容/用途

T.T.S
(電信売相場)

仕入れその他の費用の換算に用いる。
銀行側から見て、外貨を”売る”相場である。

T.T.B
(電信買相場)

売上げその他の収入の換算に用いる。
銀行側から見て、外貨を”買う”相場である。

T.T.M
(電信売買相場の仲値)

法人税法において原則として換算に使用される。
為替相場には、T.T.S(電信売相場)、T.T.B(電信買相場)、T.T.M(電信売買相場の仲値)の3種類が存在します。

T.T.S(電信売相場)は、銀行側からみて外貨を売る取引に適用される相場です。

そのため、外貨建の債務・仕入高・その他費用など、企業の立場から外貨を支払わなければならない(=銀行から外貨を買わなければならない)取引の換算に使用します。

その反対に、T.T.B(電信買相場)は、銀行側からみて外貨を買う取引に適用される相場です。

そのため、外貨建の債権・売上高・その他収入など、企業の立場から外貨を受取る(=受取った外貨を銀行へ売る)取引の換算に使用します。

T.T.Mは電信売買相場の仲値であり、法人税法においては、原則としてこのレートを使用して換算しなければなりません。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-現金⒔外国通貨を受取った』株式会社清文社
上述の会計処理は、外貨建普通預金の利子を受取った場合の原則的な為替処理ですが、”外国通貨による記録”を適用している場合についてはこの限りではなく、”外国通貨による記録”の規定に従って会計処理をおこないます。

”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
下記では、外貨建普通預金の利子を受取った場合の原則的な会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は、下記のように外貨建普通預金の取引を行った。

・X1年3月31日に保有している外貨建普通預金に対する
 X0年4月1日~X1年3月31日分の利子
 100USドルが、
 所得税及び復興特別所得税20USドルを差し引かれて
 80USドル外貨建普通預金口座に
 入金された。
・X1年3月31日の直物為替相場のT.T.B(電信買相場)は1ドル
 @100円であった。
【A社の会計処理】
① X1年3月31日(利子受取時)
借方 貸方
外貨建普通預金 8千円※2
仮払法人税 2千円※3
受取利息 10千円※1
※1X1年3月31日の直物為替相場のT.T.B(電信買相場)@100円
 ×100USドル
※X1年3月31日の直物為替相場のT.T.B(電信買相場)@100円
 ×80USドル
※X1年3月31日の直物為替相場のT.T.B(電信買相場)@100円
 ×20USドル
利子総額を受取利息として収益計上し、相手勘定で入金額を外貨建普通預金に、控除された税額を仮払法人税に計上します。いずれも、換算の際の為替相場には、利子受取時のT.T.B(電信買相場)を使用します。
次のページでは預入銀行破綻時の外貨建普通預金の保証制度について具体的にご紹介します。