外貨建定期預金を預け入れた
場合の会計処理

【外貨建定期預金を預け入れた場合の会計処理】
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原則

預入時の直物為替相場(T.T.S(電信売相場))で円換算した金額を『外貨建定期預金』勘定等へ計上

≪仕訳イメージ≫
(外貨建定期預金)XXX 
      (普通預金)XXX

外国通貨による記録

”外国通貨による記録”の規定に従って会計処理
外貨建定期預金へ入金を行う際には、外貨を購入して外貨建てで預入を行います。

そのため原則として、預け入れるための外貨を取得した時点の直物為替相場(T.T.S(電信売相場))で換算した金額を、外貨建定期預金勘定で資産計上し、相手勘定で預け入れの原資とした資産をマイナスします。 【参考文献】
外貨建取引等会計処理基準一1
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金35外貨定期預金口座を開設した』
株式会社清文社
【3種類の為替相場】
為替相場の種類 内容/用途

T.T.S
(電信売相場)

仕入れその他の費用の換算に用いる。
銀行側から見て、外貨を”売る”相場である。

T.T.B
(電信買相場)

売上げその他の収入の換算に用いる。
銀行側から見て、外貨を”買う”相場である。

T.T.M
(電信売買相場の仲値)

法人税法において原則として換算に使用される。
為替相場には、T.T.S(電信売相場)、T.T.B(電信買相場)、T.T.M(電信売買相場の仲値)の3種類が存在します。

T.T.S(電信売相場)は、銀行側からみて外貨を売る取引に適用される相場です。

そのため、外貨建の債務・仕入高・その他費用など、企業の立場から外貨を支払わなければならない(=銀行から外貨を買わなければならない)取引の換算に使用します。

外貨建定期預金の預入においても、銀行から見ると外貨を売る取引に該当するため、上述のようにT.T.S(電信売相場)で為替換算を行います。

その反対に、T.T.B(電信買相場)は、銀行側からみて外貨を買う取引に適用される相場です。

そのため、外貨建の債権・売上高・その他収入など、企業の立場から外貨を受取る(=受取った外貨を銀行へ売る)取引の換算に使用します。

T.T.Mは電信売買相場の仲値であり、法人税法においては、原則としてこのレートを使用して換算しなければなりません。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-現金⒔外国通貨を受取った』株式会社清文社
上述の会計処理は、外貨建定期預金を預け入れる場合の原則的な為替処理ですが、”外国通貨による記録”を適用している場合についてはこの限りではなく、”外国通貨による記録”の規定に従って会計処理をおこないます。

”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
下記では、外貨建定期預金を預け入れた場合の原則的な会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は、下記のように外貨建定期預金の取引を行った。

・X1年4月1日に円建普通預金で1,000USドルを購入し、
 外貨建定期預金口座へ預け入れた。
・X1年4月1日の直物為替相場のT.T.S(電信売相場)は1ドル
 @110円であった。
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(外貨建定期預金口座への預入時)
借方 貸方
外貨建定期預金 110千円※1 普通預金 110千円※1
※1X1年4月1日の直物為替相場のT.T.S(電信売相場)@110円
 ×1,000USドル
外貨購入時の直物為替相場のT.T.S(電信売相場)で換算した円建金額を、普通預金から外貨建定期預金へ振替えます。
次のページでは外貨建定期預金の期末評価の会計処理について具体的にご紹介します。