外貨建金銭債権債務とは

外貨建金銭債権債務とは、契約上の債権額又は債務額が外国通貨で表示されている金銭債権債務です。

外貨建金銭債権債務に該当する場合、その資産負債については会計基準で定められている外貨建金銭債権債務の為替換算処理方法に従って為替換算処理を行います。

外貨建金銭債権債務の具体例としては、外貨建貸付金・外貨建借入金・外貨建社債・外貨建売掛金・外貨建買掛金が挙げられます。 (外貨建取引等会計処理基準(注4))
また、外貨建未収収益・外貨建未払費用については、将来の貨幣収支(将来のキャッシュアウト&インとなるもの)となる貨幣性資産・負債であるため、外貨建金銭債権債務に準ずるものとして、外貨建金銭債権債務と同様に会計処理します。 (外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第27項)
それに対して、外貨建前渡金・外貨建前受金については、将来の収入又は費用となる収益性負債・費用性資産(将来のキャッシュアウト&インとならいもの)であるため、外貨建金銭債権債務には該当しません。 (外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第25・26項)
外貨建金銭債権債務に
該当
外貨建金銭債権債務に
該当しない

【外貨建金銭債権債務】
・外貨建貸付金
・外貨建借入金
・外貨建売掛金
・外貨建買掛金

【外貨建金銭債権債務に準ずるもの】
・外貨建未収収益
 (貨幣性資産)
・外貨建未払費用
 (貨幣性負債)

※将来のキャッシュイン&
 アウトとなる資産負債

・外貨建前渡金
 (費用性資産)
・外貨建前受金
 (収益性負債)

※将来のキャッシュイン&
 アウトとならない資産負債
外貨建金銭債権債務は、発生時には、発生時の為替相場による円換算額で計上します。 (外貨建取引等会計処理基準一1)
そして、決算時には決算時の為替相場で換算替します。

外貨建金銭債権債務は、外貨額では時価の変動リスクを負っていないため、外貨建の金額は基本的には時価評価せず帳簿価格のままですが、円貨額では為替相場の変動リスクを負っているため、原則として決算時の為替相場により換算替するとされています。

そのため、外貨建金銭債権債務に該当するものについては、流動資産負債はもちろん非流動資産負債についても、決算時の為替相場で換算替しなければなりません。 (外貨建取引等会計処理基準一2(1)(b)
外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書二1(1))
決算時の換算によって生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理します。 (外貨建取引等会計処理基準一2(2))
ただし、外貨建自社発行社債のうち転換請求期間満了前の転換社債で、転換請求の可能性がないと認められるもの以外については、発行時の為替相場のまま据え置きます。 (外貨建取引等会計処理基準一2(1)(b))
また、外貨建金銭債権債務の決済に伴って生じた損益は、原則として、当期の為替差損益として処理します。 (外貨建取引等会計処理基準一3)
外貨建金銭債権の中には、外貨建社債など償却原価法により毎期の償却額を計上するものがありますが、そのような場合の円建償却額は、外国通貨建償却額を期中平均相場により円換算して算定します。 (外貨建取引等会計処理基準(注9))
【外貨建金銭債権の為替換算】
換算のタイミング 会計処理

発生時

発生時の為替相場で計上

決算時

決算時の為替相場で換算替
⇒換算差額は当期の為替差
 損益として処理

※転換請求期間満了前の外貨
 建自社発行転換社債で
 転換
 請求の可能性がないもの以
 外は発行時の為替
 相場で据
 え置き

償却原価法の償却額計上時

外国通貨建償却額
×期中平均相場
で当期償却額を計上

決済時

決済時の換算差額は当期為替差損益に計上
ただし、”外国通貨による記録”を適用している外貨建取引については、上記の限りではなく、”外国通貨による記録”について定められている会計処理に従います。

”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
次のページでは、外国通貨の会計処理について具体的にご紹介します。