自社発行の外貨建社債の
会計処理
自社発行の外貨建社債は、原則として下記のように為替処理を行います。
換算のタイミング | 会計処理 |
---|---|
発行時 |
発行時の為替相場で負債計上 |
償却原価法における償却額計上時 |
期中平均相場で償却額を費用計上 |
決算時 |
決算時の為替相場で換算替 ⇒換算差額は当期の為替差損 益として処理 |
返済時 |
返済時の換算差額は当期為替差損益に計上 |
ただし、”外国通貨による記録”を適用している外貨建取引については、上記の限りではなく、”外国通貨による記録”について定められている会計処理に従います。
”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
自社発行の外貨建社債は、発行時は、発行時の為替相場で換算した金額で負債計上します。
(外貨建取引等会計処理基準一1)
償却原価法を適用する場合、償却額は会計期間を通じて平均的に発生したものと考えられるため、外国通貨建ての償却額を期中平均相場により換算した金額で支払利息を費用計上します。
(外貨建取引等会計処理基準(注9))
決算時には、外貨建帳簿価額を決算時の為替相場で換算してた金額で評価替えします。
(外貨建取引等会計処理基準一2(1)(b))
自社発行の外貨建社債は外貨建金銭債権債務に該当し、外貨額では時価の変動リスクを負っていないため、外価額では時価評価は行わず帳簿価格のままですが、円貨額では為替相場の変動リスクを負っているため、このように決算時の為替相場により換算替することが必要とされています。
その換算差額は当期の損益として処理します。 (外貨建取引等会計処理基準一2(2))
その換算差額は当期の損益として処理します。 (外貨建取引等会計処理基準一2(2))
返済時は、その為替相場の変動による差額が生じますが、その差額は当期の為替差損益に計上します。
(外貨建取引等会計処理基準一3)
【クーポン利子の為替処理】
クーポン利子発生時
⇒発生時の為替相場で費用計上
未払利息
⇒外貨建未払費用に準じて会計処理
クーポン利子発生時
⇒発生時の為替相場で費用計上
未払利息
⇒外貨建未払費用に準じて会計処理
クーポン利子については、発生時の為替相場による円換算額をもって費用計上します。
(外貨建取引等会計処理基準一1)
下記では、自社発行の外貨建社債の仕訳について、具体例を使用してご紹介します。
(参考:外貨建取引等の会計処理に関する実務指針設例6)
前提条件 |
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A社は、下記の様に外貨建社債の取引を行った。
・X1年6月1日に額面100,000USDを95,200USDで発行した ・X1年6月1日のUSDの為替相場は1USD@100円であった ・発行価額と債券金額(額面)との差額は、全て金利の 調整部分(金利調整差額)である ・償却原価法としては定額法を適用する ・X1年6月1日~X2年3月31日のUSDの期中平均為替相場は 1USD@114円であった ・X2年3月31日のUSDの為替相場は1USD@110円であった ・X2年5月31にクーポン利息をクーポン利子率通り支払った ・X2年5月31日のUSDの為替相場は1USD@105円であった ・A社の決算日は3月31日 |
【A社の会計処理】
① X1年6月1日(発行時)
① X1年6月1日(発行時)
借方 | 貸方 |
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現金預金 9,520千円※1 | 社債 9,520千円※1 |
※1外貨建発行価額95,200USD×発行時の為替相場@100円
外貨建発行価額に発行時の為替相場を掛けた金額で、社債を負債計上します。
② X2年3月31日(決算時)
借方 | 貸方 |
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社債利息 550千円※2
社債利息 228千円※3 為替差損 994千円※4 |
未払費用 550千円※2
社債 228千円※3 社債 994千円※4 |
※2額面金額100,000USD×クーポン利子率6%÷12カ月
×今期中月数10カ月×決算時為替相場@110円
※3(額面金額100,000USD-発行価額95,200USD)
÷発行から満期までの月数24カ月×今期中月数10カ月
×期中平均相場@114円
※4社債外貨建建帳簿価額97,200USD(95,200USD
+(額面金額100,000USD-取得価額95,200USD)
÷発行から満期までの月数24カ月×今期中月数10カ月)
×決算時為替相場@110円
-社債円建帳簿価額9,748千円
(取得価額9,520千円+償却額228千円)
×今期中月数10カ月×決算時為替相場@110円
※3(額面金額100,000USD-発行価額95,200USD)
÷発行から満期までの月数24カ月×今期中月数10カ月
×期中平均相場@114円
※4社債外貨建建帳簿価額97,200USD(95,200USD
+(額面金額100,000USD-取得価額95,200USD)
÷発行から満期までの月数24カ月×今期中月数10カ月)
×決算時為替相場@110円
-社債円建帳簿価額9,748千円
(取得価額9,520千円+償却額228千円)
期末時点で未払のクーポン利子について、決算時の為替相場で円換算した金額を未払費用に計上するとともに、相手勘定で社債利息を計上します。
償却額については、期中平均相場で円換算した金額を社債利息として費用計上し、相手勘定で同額を社債として計上します。
社債については、外貨建帳簿価額に期末為替相場を乗じた金額で換算替えし、期末換算前の円建帳簿価額との差額は為替差損益として計上します。
償却額については、期中平均相場で円換算した金額を社債利息として費用計上し、相手勘定で同額を社債として計上します。
社債については、外貨建帳簿価額に期末為替相場を乗じた金額で換算替えし、期末換算前の円建帳簿価額との差額は為替差損益として計上します。
③ X2年4月1日(翌期首)
借方 | 貸方 |
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未払費用 550千円※2 | 社債利息 550千円※2 |
※2未払利息円建前期末残高
前期末に計上していた円建未払利息残高を戻入て、相手勘定で社債利息をマイナスします。
④ X2年5月31日(クーポン利子支払時)
借方 | 貸方 |
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社債利息 630千円※5 | 現金預金 630千円※5 |
※5外貨建額面金額100,000USD×クーポン利子率6%
×支払時為替相場@105円
×支払時為替相場@105円
支払ったクーポン利息を支払時の為替相場で換算して、社債利息に計上するとともに同額を現金預金からマイナスします。
次のページでは、自社発行の外貨建転換社債の会計処理について具体例を使用してご紹介します。