傷害保険の税制の改正履歴と会計処理の総まとめ

【傷害保険の税制改正履歴総まとめ】





契約時期 細目条件 終身保障タイプ
(有期払込)
終身保障タイプ
(終身払込)
令和元年7月8日以降 保険期間3年未満
(令和元年10月7日以前に契約した解約返戻金なしかつ短期払い以外)
時の経過に応じて損金計上※経過勘定処理の特例あり
保険期間3年以上 最高解約返戻率≦50%
(令和元年10月7日以前に契約した解約返戻金なしかつ短期払い以外)
時の経過に応じて損金計上※経過勘定処理の特例あり
50%<最高解約返戻率≦70% 被保険者当り年換算保険料相当額
≦30万円
時の経過に応じて損金計上
被保険者当り年換算保険料相当額
>30万円
■保険期間の4割経過迄
当期分支払保険料の3/5を損金、2/5を資産計上

■4割経過迄後~後半25%の前迄
当期分支払保険料を損金計上

■保険期間の後半25%
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
70%<最高解約返戻率≦85% ■保険期間の4割経過迄
当期分支払保険料の2/5を損金、3/5を資産計上

■4割経過迄後~後半25%の前迄
当期分支払保険料を損金計上

■保険期間の後半25%
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
保険期間3年以上~10年未満 85%<最高解約返戻率 ■保険期間の5割経過迄
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.9』を損金、残額を資産計上

■保険期間の5割経過後
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
保険期間10年以上 ■資産計上期間
(1)1~10年目
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.9』を損金、残額を資産計上

(2)11年目以降
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.7』を損金、残額を資産計上

■資産計上期間後~取崩期間迄
当期分支払保険料を損金計上

■取崩期間
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
令和元年7月7日以前
(長期障害保険のみ)
■(105-加入時の被保険者
 年齢)×0.7までの期間

当期分保険料×1/4を損金計上、残額を資産計上

■前払期間後

下記の①②を損金計上
①当期分保険料
②資産計上した累計額を取崩
 期間で均等に按分した額
■(105-加入時の被保険者
 年齢)×0.7までの期間

支払保険料×1/4を損金計上、残額を資産計上

■前払期間後

下記の①②を損金計上
①支払保険料
②資産計上した累計額を取崩
 期間で均等に按分した額


















傷害保険の税法上の規定は、平成13年及び令和元年に改正されており、現存する傷害保険契約に適用される規定は、その保険を契約した年度によって異なります。
現行の規定は、令和元年に改正されたものです。

現行の規定においては、保険期間と最高解約返戻率、及び、一被保険者当たりの年換算保険料相当額により、適用される支払保険料の会計処理が異なります。

具体的な会計処理については、上記のSummaryより、該当ページがご参照いただけます。

令和元年に改正された規定は、令和元年7月8日以降の契約に限定して適用されるため、令和元年7月7日までの保険契約については、旧基本通達での規定が適用されます。

ただし、令和元年7月8日~10月7日の契約の内、解約返戻金がなく、かつ、短期払のものについては、旧規定が適用されるため留意が必要です。 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5・9-3-5の2
タックスアンサーNo.5364定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ-Q1
個別規定が設定される前の傷害保険の支払保険料は、法人税法基本通達9-3-6の2に準じて、全額損金算入されていました。

その後、平成18年に、上述の『平成13年8月10日 課審4-100 法人契約の「平成18年4月28日 課審5-90 長期傷害保険(終身保障タイプ)に関する税務上の取扱いについて』が規定されました。

ただし、ここでは適用開始日や遡及適用の有無に関する規定の記載がなく、長期傷害保険のどこまでが適用対象となるかが明確にされていません。

そのため、多くの企業では、この回答が明示された平成18年4月28日以降に支払った保険料から、経理処理を変更しています。

そして、令和元年において、傷害保険を含む第三分野保険の支払保険料の会計処理が一掃して改正されました。

令和元年の改正については、令和元年7月8日以降に契約した保険契約にのみ適用されます。

そのため、現存する『令和元年7月7日に契約した傷害保険』の保険料については、平成18年改正後の規定を適用することが適切であるとされています。 【参考文献】
平成18年4月28日 課審5-90 長期傷害保険(終身保障タイプ)に関する税務上の取扱いについて
(法令解釈通達)
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章6⃣』税務研究会出版局
次のページでは、令和元年7月8日以降に契約した傷害保険の支払保険料の会計処理(保険期間が3年未満のもの)について具体的にご紹介します。