外貨建未収収益の会計処理
外貨建未収収益は、原則として下記のように為替処理を行います。
【外貨建未収収益の為替換算】
換算のタイミング | 会計処理 |
---|---|
発生時 |
発生時の為替相場で資産計上 |
決算時 |
決算時の為替相場で換算替 ⇒換算差額は当期の為替差損 益として処理 |
翌期首 |
前期末円建て残高を戻入 |
ただし、”外国通貨による記録”を適用している外貨建取引については、上記の限りではなく、”外国通貨による記録”について定められている会計処理に従います。
”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
外貨建未収収益は、将来の貨幣収入となる貨幣性資産であるため、為替換算上、外貨建金銭債権債務に準ずるものとして取り扱います。
(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第27項)
具体的には、 外貨建未収収益の発生時には、その発生時の為替相場による円換算額をもって資産計上します。
(外貨建取引等会計処理基準一1)
決算時には、決算時の為替相場により換算替を行います。
(外貨建取引等会計処理基準一2(1)(b)
外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書二1(1))
外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書二1(1))
決算時の換算替で生じた換算差額は、当期の為替差損益に計上します。
(外貨建取引等会計処理基準一2(2))
翌期首には、前期末に計上していた未収収益の円建残高を戻入ます。
(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針設例6)
下記では、外貨建未収収益の仕訳について、具体例を使用してご紹介します。
(参考:外貨建取引等の会計処理に関する実務指針設例6)
前提条件 |
---|
A社は海外向サービス業を営んでおり、下記の取引を行った。
・X1年2月1日~X1年4月30日の期間で保守サポートサービス を提供する契約を締結した ・サービス提供料は1カ月当たり10,000USDである ・X1年4月30日時点で3カ月分を請求する ・X1年2月28日のUSDの為替相場は1USD@100円であった ・X1年3月31日のUSDの為替相場は1USD@105円であった ・X1年4月30日のUSDの為替相場は1USD@103円であった ・A社の決算日は3月31日 |
【A社の会計処理】
① X1年2月28日(サービス提供1カ月目末日)
① X1年2月28日(サービス提供1カ月目末日)
借方 | 貸方 |
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未収収益 1,000千円※1 | 売上高 1,000千円※1 |
※1未収収益発生時の相場@100円×10,000USD
2月分のサービス提供について未収収益を未収収益発生時の為替相場で資産計上し、相手勘定で売上を計上します。
② X1年3月31日(サービス提供2カ月目末日&決算日)
借方 | 貸方 |
---|---|
未収収益 1,050千円※2
未収収益 50千円※3 |
売上高 1,050千円※2
為替差益 50千円※3 |
※2当月分未収収益発生時の相場@105円×10,000USD
※3決算時の相場@105円×計上済み未収収益外貨建残高
10,000USD-計上済の未収収益帳簿残高1,000千円
※3決算時の相場@105円×計上済み未収収益外貨建残高
10,000USD-計上済の未収収益帳簿残高1,000千円
3月分のサービス提供について未収収益を未収収益発生時の為替相場で資産計上し、相手勘定で売上を計上します。前月までに計上済みの未収収益については、決算時の為替相場で換算替し、差額は為替差損益として計上します。
③ X1年4月1日(翌期首)
借方 | 貸方 |
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売上高 2,100千円※4 | 未収収益 2,100千円※4 |
※4未収収益円建前期末残高
前期末に計上していた円建未収収益残高を戻入て、相手勘定で売上高をマイナスします。
④ X1年4月30日(サービス提供3カ月目末日&請求日)
借方 | 貸方 |
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売掛金 3,090千円※5 | 売上高 3,090千円※5 |
※5外貨建請求金額30,000USD×請求時の為替相場@103円
請求総額について、請求日の為替相場で売掛金と売上高を計上します。
次のページでは、未収収益に関連する会計基準を一覧でご紹介します。