自社発行の外貨建新株予約権の会計処理

自社発行の外貨建新株予約権は、原則として下記のように為替処理を行います。
換算のタイミング 会計処理

発行時

発行時の為替相場で換算

決算時

発行時の為替相場で据置

権利行使時

発発行時の為替相場で資本金等へ振替
ただし、”外国通貨による記録”を適用している外貨建取引については、上記の限りではなく、”外国通貨による記録”について定められている会計処理に従います。

”外国通貨による記録”の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
外国通貨による記録
多通貨会計とは
純粋多通貨会計と準多通貨会計
自社発行の外貨建新株予約権は、発行時には、発行時の為替相場で換算してBS計上します。 (外貨建取引等会計処理基準一1
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第19-2項)
決算時においても、換算替えはせず、発行時の為替相場で据え置きます。

外貨建自社発行新株予約権は、自社発行株式の価格を基礎数値とする売建オプション的性格を有する将来株主資本又は利益に振り替えられる可能性のある仮勘定であるため、権利行使の有無の確定までは、発行時の為替相場で据え置く会計処理が採用されています。

また、権利行使時においても、発行時の為替相場で換算した金額で、資本金等へ振り替えます。 (外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第19-3・62-2項)
下記では、自社発行の外貨建新株予約権の仕訳について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は、下記のように外貨建新株予約権の取引を行った。
・X1年6月1日に総額100,000USDの新株予約権を発行した
・X1年6月1日のUSDの為替相場は1USD@100円であった
・X2年3月31日のUSDの為替相場は1USD@110円であった
・X2年5月31日に発行した新株予約権が全て権利行使され、
 新株を発行し1,000,000USDが入金された
・X2年5月31日の新株発行に伴う増資については全額資本金
 として計上する
・X2年5月31日のUSDの為替相場は1USD@105円であった
・A社の決算日は3月31日
【A社の会計処理】
① X1年6月1日(発行時)
借方 貸方
現金預金 10,000千円※1 新株予約権 10,000千円※1
※1外貨建発行価額100,000USD×発行時の為替相場@100円
外貨建発行価額に発行時の為替相場を掛けた金額で、新株予約権をBS計上します。
② X2年3月31日(決算時)
新株予約権は発行時の為替相場で据え置くため、期末換算替えの処理は行いません。
③ X2年5月31日(権利行使時)
借方 貸方
新株予約権 10,000千円※1
現金預金 105,000千円※2
資本金 115,000千円※3

※1権利行使された新株予約権の帳簿価額
※2新株発行に伴う払込額1,000,000USD
  ×払込時の為替相場@105円
※3権利行使された新株予約権帳簿価額10,000千円
  +払込額105,000千円
権利行使された新株予約権を帳簿価額(発行時の為替相場で円換算したもの)で資本金に振替えるとともに、新株発行に対する払込額を払込時の為替相場で円換算して、同じく資本金に計上します。
次のページでは、自社発行の外貨建新株予約権を取得した場合の会計処理について具体的にご紹介します。