養老保険とは

【養老保険とは】

被保険者が保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金受取人に死亡保険金が支払われ、満期まで生存していた場合は満期保険金受取人に満期保険金が支払われる生命保険

※生死混合保険

※貯蓄性が高い

※法人では役員・従業員の万が一の場合に備
 えつつ、退職金の準備として利用

※保険料の内、保険部分は保険料計上、貯蓄
 部分は資産計上する

※解約時には貯蓄保険料及びその利子部分を
 解約返戻金として受取

※第一分野保険に該当
養老保険とは、被保険者が保険期間中に亡くなった場合は死亡保険金受取人に死亡保険金が支払われ、保険期間満了時まで生存していた場合は満期保険金受取人に満期保険金が支払われる生命保険です。

また、保険期中に解約した場合には、解約返戻金が支払われます。

そのため、養老保険は生死混合保険に該当し、最終的に生死にかかわらず払い込まれた貯蓄保険料及びその利子部分は必ず受取ることができます。

このように、養老保険は貯蓄性が高い保険で、法人が養老保険を契約する目的としては、役員・従業員の万が一の場合に備えるほか、退職金の準備があげられます。

会計上では、支払った養老保険料は、保険部分と貯蓄部分に区分し、保険部分の保険料は支払保険料などの勘定科目で当期の費用として、貯蓄部分は、銀行預金や金融商品などと同じ効果があると考えられることから、保険積立金などの勘定科目で資産として計上します。 【参考文献】
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章1⃣(1)』税務研究会出版局
また、養老保険は保険業法における第一分野保険に該当します。保険業法における分野別保険分類についての詳細は、下記のページをご参照下さい。
保険の分野別分類 【参考文献】
保険業法
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章1⃣(2)』税務研究会出版局
【養老保険の受取人と支払保険料の会計処理】




契約者 被保険者 満期保険金の受取人 死亡保険金の受取人 支払保険料の会計処理
法人 役員・使用人 法人 法人 保険積立金等で資産計上
役員・使用人の遺族 1/2 ⇒保険積立金等で資産計上
1/2 ⇒福利厚生費等で損金計上
   ※ただし、特定の者のみ
    に対する場合は給与
役員・使用人 役員・使用人の遺族 役員報酬・給与
法人 1/2 ⇒役員報酬・給与
1/2 ⇒福利厚生費等で損金計上
   ※ただし、特定の者のみ
    に対する場合は給与

(通達に規定がないため議論があるが、現状では上記の会計処理が一般的)
法人が自社の役員・使用人を被保険者として養老保険を契約した場合の支払保険料の会計処理は、その保険金の受取人が誰かによって異なります。

満期保険金及び死亡保険金の受取人がいずれも法人である場合、支払った保険料は、全額保険積立金として資産計上します。

満期保険金及び死亡保険金の受取人がいずれも法人である場合の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
養老保険の支払保険料の会計処理
(満期保険金及び死亡時保険金受取人が法人の場合)


それに対して、満期保険金及び死亡保険金の受取人がいずれも役員・使用人又はその遺族である場合、支払った保険料は、全額、被保険者である役員・使用人の給与として費用計上します。

満期保険金及び死亡保険金の受取人がいずれも役員・使用人又はその遺族である場合の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
養老保険の支払保険料の会計処理
(満期保険金受取人が被保険者及び死亡時保険金受取人が被保険者の遺族の場合)


満期保険金の受取人が法人であり、死亡保険金の受取人が被保険者である役員・使用人の遺族である場合は、支払った保険料の1/2を保険積立金として資産計上し、残りの1/2を福利厚生費等で費用計上します。

ただし、特定の役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、保険料の1/2は福利厚生費等ではなく、その役員・使用人の給与として計上します。

満期保険金の受取人が法人であり、死亡保険金の受取人が被保険者である役員・使用人の遺族である場合の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
養老保険の支払保険料の会計処理
(満期保険金受取人が法人及び死亡時保険金受取人が被保険者の遺族の場合)


満期保険金の受取人が法人であり、死亡保険金の受取人が被保険者である役員・使用人である場合については、明確な規定がなく、実務においての会計処理に色々な議論がなされています。

そのなかで現状では、支払った保険料の1/2を福利厚生費等とし、残りの1/2を役員・使用人の給与で費用計上する方法が、一般的となっています。

ただし、このケースにおいても、特定の役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者としている場合には、保険料の1/2は福利厚生費等ではなく、その役員・使用人の給与として計上すべきとされています。

満期保険金の受取人が法人であり、死亡保険金の受取人が被保険者である役員・使用人である場合の具体的な会計処理については、下記のページをご参照ください。
養老保険の支払保険料の会計処理
(満期保険金受取人が法人及び死亡時保険金受取人が被保険者の遺族の場合)
【参考文献】
タックスアンサーNo.5363 養老保険の保険料の取扱い
法人税法基本通達9-3-4
法人税法基本通達9-2-9(12)・9-2-11(5)
所得税基本通達36-31・36-32
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章2⃣(2)』税務研究会出版局
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第1章1(1)』一般財団法人大蔵財務協会
次のページでは、養老保険の支払保険料の会計処理(満期保険金及び死亡時保険金受取人が法人の場合)について具体的にご紹介します。