定期保険の税制の改正履歴と会計処理の総まとめ

【定期保険の税制改正履歴総まとめ】
契約時期 細目条件 保険期間満了時被保険者の年齢>70歳
かつ
保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2>105
かつ
解約返戻金あり
かつ
右記、逓増定期保険に該当しない
保険期間満了時被保険者の年齢>60歳
かつ
保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2>90
かつ
保険期間経過により保険金額が増加する
保険期間満了時被保険者の年齢>45歳
かつ
保険期間経過により保険金額が増加する
その他定期保険
令和元年7月8日以降 保険期間3年未満 時の経過に応じて損金計上※短期払の特例あり
保険期間3年以上 最高解約返戻率≦50% 時の経過に応じて損金計上※短期払の特例あり
50%<最高解約返戻率≦70% 被保険者当り年換算保険料相当額
≦30万円
時の経過に応じて損金計上
被保険者当り年換算保険料相当額
>30万円
■保険期間の4割経過迄
当期分支払保険料の3/5を損金、2/5を資産計上

■4割経過迄後~後半25%の前迄
当期分支払保険料を損金計上

■保険期間の後半25%
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
70%<最高解約返戻率≦85% ■保険期間の4割経過迄
当期分支払保険料の2/5を損金、3/5を資産計上

■4割経過迄後~後半25%の前迄
当期分支払保険料を損金計上

■保険期間の後半25%
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
保険期間3年以上~10年未満 85%<最高解約返戻率 ■保険期間の5割経過迄
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.9』を損金、残額を資産計上

■保険期間の5割経過後
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
保険期間10年以上 ■資産計上期間
(1)1~10年目
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.9』を損金、残額を資産計上

(2)11年目以降
『当期分支払保険料×最高解約返戻率×0.7』を損金、残額を資産計上

■資産計上期間後~取崩期間迄
当期分支払保険料を損金計上

■取崩期間
下記の①②を損金計上
①当期分支払保険料の全額
②資産計上した累計額を取崩期間で均等に按分した額
平成20年2月28日~令和元年7月7日 保険期間満了時被保険者の年齢
>45歳
【長期平準定期保険】

■加入から保険期間
 の6割経過迄

 保険料の1/2を損金
 1/2を資産計上

■加入から保険期間
 の6割経過後

 下記の①②を損金
 計上

 ①支払保険料全額

 ②資産計上した保
  険料累計額を取
  崩期間で均等に
  按分した額
【逓増定期保険】
■加入から保険期間の6割経過迄
保険料の1/2を損金、1/2を資産計上

■加入から保険期間の6割経過後
下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険料累計額をの保険期間
 で均等に按分した額
時の経過に応じて損金計上
保険期間満了時被保険者の年齢
>70歳
保険加入時被保険者の年齢+保険期間×2
>95
【逓増定期保険】
■加入から保険期間の6割経過迄
保険料の1/3を損金、2/3を資産計上

■加入から保険期間の6割経過後
下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険料累計額をの保険期間
 で均等に按分した額
保険期間満了時被保険者の年齢
>80歳
保険加入時被保険者の年齢+保険期間×2
>120
【逓増定期保険】
■加入から保険期間の6割経過迄
保険料の1/4を損金、3/4を資産計上

■加入から保険期間の6割経過後
下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険料累計額をの保険期間
 で均等に按分した額
平成20年2月27日以前 保険期間満了時被保険者の年齢
>60歳
保険加入時被保険者の年齢+保険期間×2
>90
【逓増定期保険】

■加入から保険期間
 の6割経過迄

保険料の1/2を損金、1/2を資産計上

■加入から保険期間
 の6割経過後

下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険
 料累計額をの保険
 期間で均等に按分
 した額
保険期間満了時被保険者の年齢
>70歳
保険加入時被保険者の年齢+保険期間×2
>105
【逓増定期保険】

■加入から保険期間
 の6割経過迄

保険料の1/3を損金、2/3を資産計上

■加入から保険期間
 の6割経過後

下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険
 料累計額をの保険
 期間で均等に按分
 した額
保険期間満了時被保険者の年齢
>80歳
保険加入時被保険者の年齢+保険期間×2
>120
【逓増定期保険】

■加入から保険期間
 の6割経過迄

保険料の1/4を損金、3/4を資産計上

■加入から保険期間
 の6割経過後

下記の①②を損金計上

①支払保険料の全額

②資産計上した保険
 料累計額をの保険
 期間で均等に按分
 した額







































定期保険の税法上の規定は、平成8年、平成20年、及び、令和元年に改正されており、現存する定期保険契約に適用される規定は、その保険を契約した年度によって異なります。
現行の規定は、令和元年に改正されたものです。

現行の規定においては、保険期間と最高解約返戻率、及び、一被保険者当たりの年換算保険料相当額により、適用される支払保険料の会計処理が異なります。

具体的な会計処理については、上記のSummaryより、該当ページがご参照いただけます。

令和元年に改正されら規定は、令和元年7月8日以降の契約に限定して適用されるため、令和元年7月7日までの保険契約については、旧基本通達での規定が適用されます。 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5・9-3-5の2
タックスアンサーNo.5364定期保険及び第三分野保険の保険料(保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれない場合)の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ-Q1
令和元年7月7日までに契約を開始した定期保険については、主に『法人税基本通達9-3-5』と『「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」の一部改正について』の規定に基づいて会計処理を行います。

この規定では、定期保険は、被保険者の加入時及び満期時の年齢、保険期間、及び保険期間経過に伴う保険金の増加の有無に基づき、長期平準定期保険、逓増定期保険とそれ以外に分類され、この分類ごとに、異なる会計処理が適用されます。 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5
「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
『「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」の一部改正について』は、昭和62年に通達が発遣され、その後、平成8年と平成20年に改訂されています。

ただし、改訂の内容は逓増定期保険に関するものであり、長期平準定期保険については、昭和62年の通達発遣後、令和元年の改正まで変更されていません。

そのため、令和元年7月7日以前に契約を開始した長期平準定期保険については、全て、同じ会計処理が適用されます。

それに対して、逓増定期保険については、上述の通り規定の改定が行われていますので、平成20年2月27日以前の契約と、その後の契約で逓増定期保険に該当する保険契約の範囲と、その会計処理が異なります。

また、それに伴い、上記の『それ以外』に該当する定期保険についても、平成20年2月27日以前の契約と、その後の契約で該当する保険契約の範囲が異なります。

具体的な会計処理については、上記のSummaryより、該当ページがご参照いただけます。 【参考文献】
「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章4⃣【参考1】』税務研究会出版局
昭和55年12月25日直法2-15(例規)法人税基本通達等の一部改正について
次のページでは、令和元年7月8日以降に契約した定期保険の支払保険料の会計処理(保険期間が3年未満のもの)について具体的にご紹介します。